安倍派改選組「全額還流」焦点 参院政倫審14日にも(2024年3月10日『時事通信』)

 
自民議員ら32人を審査対象にすることを全会一致で議決した参院政治倫理審査会=8日、国会内

自民議員ら32人を審査対象にすることを全会一致で議決した参院政治倫理審査会=8日、国会内

  • 記者会見する自民党の世耕弘成前参院幹事長=1月19日、東京・永田町の同党本部

 週明けの国会では、自民党派閥の裏金事件を受けた参院政治倫理審査会が14日にも開かれる。安倍派は改選を迎える同派議員に派閥パーティーで集めた資金を全額還流した疑惑があり、幹部だった世耕弘成参院幹事長らの説明が焦点だ。

参院政倫審、出席者巡り駆け引き 自民「数人で」、野党「全員公開」―32人対象、14日にも実施

 参院政倫審は8日、自民党議員ら32人に対する審査を全会一致で議決。出欠の意向確認書を送付し、12日午前11時までの回答を求めた。32人のうち世耕氏や西田昌司氏が出席する意向だ。

 政倫審の議決に出席の強制力はなく、自民は「個人の判断」(佐藤正久与党筆頭幹事)との立場で、審査会の公開についても本人の意向を尊重するよう主張。これに対し、野党は「全会一致だから全員出席が当然」(泉健太立憲民主党代表)と求め、公開は不可欠との立場だ。

 安倍派は2019年と22年の参院選に際し、改選を迎える参院議員に対し、派閥のパーティー券販売で集めた資金を全額還流した疑いがある。野党側は「裏金が参院選に使われた可能性があるのではないか」と見ており、政倫審で徹底追及する構えだ。

 安倍派が還流を再開した経緯について、世耕氏がどのような説明をするかも注目点だ。世耕氏は再開を協議した22年8月上旬の幹部会合に出席していたとされる。

 13日には岸田文雄首相が出席して、参院予算委員会集中審議が開かれる。野党は、自民党茂木敏充幹事長らが多額の政治資金を使途の公開基準が緩い政治団体に移動させたことについて、裏金づくりのための「脱法行為」などと問題視している。

 野党は衆院政倫審を再び開催することも引き続き自民に迫る。安倍派幹部だった下村博文政調会長に出欠を照会し、「出席する意思はある。党と相談した上で(衆院政倫審の)田中和徳会長に申出書を出す」との回答を得た。ただ、自民内には開催に慎重な意見もあり、与野党協議の行方は不透明だ。