参院予算委員会は4日、岸田文雄首相と全閣僚が出席して2024年度予算案に関する実質審議に入った。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る疑念が多く残されたまま、参院での論戦が本格化したが、首相は衆院での論戦と同じように、全容解明に消極的な答弁を続けた。
◆西村氏と塩谷氏の「食い違い」追及され
参院予算委で資料に目を通す岸田首相
事務総長だった西村康稔前経済産業相は先週の衆院政治倫理審査会で、8月の幹部会議では還流の扱いに関し「結論は出なかった」と証言。一方、会長代理を務めていた塩谷立元文部科学相は「困っている人がたくさんいるからしょうがない」として還流を復活させることになったと主張し、認識が一致しなかった。
辻元氏は「いつ誰が裏金を再開したのか。どちらかがうそをついている」と指摘し、首相に両者の食い違いを確認するよう促した。首相は「実態把握について何が必要なのかを考えていく」と曖昧な答弁に終始した。
◆裏金議員32人の政倫審出席への指示を拒否
立民の石橋通宏氏は、参院政倫審で野党が求めた安倍派議員ら32人の審査実施に向け、首相が指導力を発揮するよう要求。政倫審で議員の弁明を実施するには、出席委員の過半数による議決か、議員本人の申し出が必要となる。
党総裁として自民に議決を命ずるよう迫られても、首相は「指示は出さない」と拒否。全容解明に向けた前向きな姿勢は見られなかった。石橋氏は「リーダーシップも感じられないし、説明責任を果たすという言葉も空虚に聞こえる」と切り捨てた。