バイデン氏は7日の一般教書演説で、11月の大統領選での再対決が確実となったトランプ氏との敵意をむき出しにした。トランプ氏は交流サイト(SNS)でバイデン氏の演説に対して逐一反論。8カ月後の本選に向け、両氏が早くも火花を散らした。(ワシントン・浅井俊典)
一般教書演説をするバイデン米大統領と拍手を送るハリス副大統領(左後方)=7日、ワシントンで(AP)
一般教書演説は、政策目標を順番に説明し、超党派の理解を求めるのが通例だが、バイデン氏は演説開始から5分もたたないうちにトランプ氏批判を展開。約70分間の演説で、トランプ氏の名前は出さずに「前任者」と13回呼び、攻撃的な言葉を繰り返し浴びせた。
トランプ氏支持者らによる2021年の議会襲撃事件を「南北戦争以来の民主主義の脅威」と断じ、「政治的暴力は決して許されない」と強調。襲撃を正当化するような言動を繰り返すトランプ氏を「真実を葬り去ろうとしている」と批判。在任中、銃規制などにも取り組まず「恨みや復讐(ふくしゅう)、報復の物語を見ている」とも。トランプ氏が返り咲いた場合の危険性を並べ立てることで、同氏を敬遠する有権者の支持を取り込む戦略とみられる。
◆トランプ氏も40回以上反論、髪形にまで難癖
トランプ氏も黙ってはいない。バイデン氏が演説している間、自身が創設したSNS「トゥルース・ソーシャル」で反論を40回以上にわたって投稿。移民問題や物価高、バイデン氏が演説中にせき込んだことや髪形にまで難癖をつけた。
自身がNATO加盟国を守らないかのような発言をしたことについては「請求書を払わなければ守るつもりはないと言った。NATOが強くなったのは、私が(軍事費の)支払いをさせたからだ」と主張。ロシアがウクライナを侵攻したのは「プーチンがバイデンを尊敬していないからで、トランプ政権では決して起きなかった」と書き込んだ。
バイデン氏の演説を「怒りっぽく、思いやりに欠けた最悪の一般教書演説。米国の恥さらしだ」と批判。互いに激しく批判し合う様子は、前回20年大統領選で両氏が直接対決した候補者討論会を彷彿させる。
◆世論調査「バイデン氏を信頼」演説前より上昇
CNNテレビがバイデン氏の演説直後に実施した調査では65%が演説を「好ましい」と評価。無党派層では、同氏の職務遂行能力について68%が「信頼している」と答え、演説前より17ポイントも上昇した。
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