下村氏は4日、「私の名前も何度か出ましたので、今後政倫審が開催されるのであれば、党と相談して説明責任を果たしていきたい」とXに投稿した。1日の衆院政倫審では、安倍派の西村康稔前経済産業相らが、派閥パーティー券売り上げの議員への還流(キックバック)を中止するかどうか話し合った2022年4月と8月の幹部協議に下村氏も出席していたと説明している。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、衆院政倫審ではこれまで岸田文雄首相(党総裁)のほか、西村氏や松野博一前官房長官ら安倍派幹部だった4人を含む計6人を審査した。参院政倫審には安倍派の世耕弘成前参院幹事長が出席の意向を示している。
◆安倍元首相の死去後、集団指導体制から外れる
下村氏は2018年1月~19年9月に安倍派事務総長を務めた。会長だった安倍晋三元首相の側近として知られたが、2022年7月に安倍氏が死去した後は派閥幹部による「集団指導体制」から外れていた。派閥会長を務めた森喜朗元首相に近いとされる松野氏や西村氏ら「5人組」と下村氏の間には距離があると指摘され、党内では下村氏の政倫審出席を警戒する雰囲気が強い。閣僚経験者は「下村さんが出席するかしないか、(党内で)話題にならないのが気になっていた」と話す。岸田派中堅は「表の場に出たら何かを暴露するかもしれない」と声をひそめる。
◆西村氏と塩谷氏、説明に食い違い
西村氏は、安倍氏が出席した4月の協議では安倍氏の意向を踏まえて現金での還流を中止する方針が決まったが、安倍氏死去後の8月上旬に改めて検討した際は結論が出なかったと証言。一方、塩谷氏は8月の協議では「具体的に決めてはいないが(還流を)継続するしかないという状況で終わった」と話しており、西村氏と塩谷氏の説明に食い違いが生じている。
4月と8月の協議のいずれにも加わっていた下村氏の審査が実現すれば、いったんは中止が決まった還流が続くことになった経緯をどう説明するか注目される。(佐藤裕介)
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