【詳報】政倫審が閉会…廃止方針だった「還流」、継続への転換に塩谷氏「還付を希望する声多く」

政治倫理審査会
政治倫理審査会

 自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)の2日目が1日午前9時から始まった。安倍派幹部だった西村康稔・前経済産業相松野博一・前官房長官塩谷立・元文部科学相、高木毅・前国会対策委員長の4人が出席する。巨額の裏金作りが常態化していた経緯などが焦点となる。政倫審2日目の模様を速報する。

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安倍派幹部への審査終了

 衆院政治倫理審査会は、自民党安倍派幹部だった西村康稔・前経済産業相松野博一・前官房長官塩谷立・元文部科学相、高木毅・前国会対策委員長の4人に対する審査を終了し、閉会した。

検討の内容「全く認識していない」

衆院政倫審で弁明中に汗を拭う高木前国対委員長(1日午後)=代表撮影
衆院政倫審で弁明中に汗を拭う高木前国対委員長(1日午後)=代表撮影

 高木毅・前国会対策委員長は、安倍派内でパーティー券販売収入の還流がいったん廃止の方向となり、その後継続となったことについて、「派内でどのような検討がなされたか全く認識していない」と述べた。高木氏は2022年8月に安倍派の事務総長に就任しており、「検討の場に出席したことはなく、一切関与していない」と語った。

高木前国対委員長「多大なる政治不信を招いた」

 自民党安倍派で事務総長だった高木毅・前国会対策委員長は、同派の政治資金規正法違反事件について「国民の皆様方に多大なる政治不信を招いたことを心よりおわび申し上げる」と陳謝した。

「不記載については一切話が出ず」

 塩谷立・元文科相は、安倍元首相が安倍派のパーティー券販売収入の還流の廃止方針を打ち出し、安倍氏がなくなった後に還流継続が決まったとされる一連の流れの中で、「(政治資金収支報告書への)不記載については一切話が出ていない」と語った。「違法性の話は出ていないと思う」とも述べた。

「継続するのはしょうがない」

 塩谷立・元文科相は、安倍派のパーティー券販売収入の還流を廃止する方針を打ち出した安倍元首相がなくなった後の2022年8月に自身を含む同派幹部が協議し、「還付をどうするか話し合った」と説明した。派内でこれまで通り還付を求める声があり、「(幹部内で)今年に限って継続するのはしょうがないなという話し合いがされた」と述べた。

 協議があったことについては、西村氏も午前の衆院政治倫理審査会で明らかにしている。

還付を希望する声多く

 塩谷立・元文科相は、2021年に同派会長の安倍元首相が廃止の方針を打ち出したとされる同派のパーティー券販売収入の還流について、「(派内で)還付を希望する声が多く、その要望に沿って22年分も従来通り還付が継続された」と述べた。「(当時)適法ではない処理をしているということを全く認識していなかった」とも語った。

塩谷元文科相「深くおわび」

衆院政倫審で弁明する塩谷元文科相(1日午後、国会で)=代表撮影
衆院政倫審で弁明する塩谷元文科相(1日午後、国会で)=代表撮影

 塩谷立・元文科相は、衆院政治倫理審査会に出席し、同派の政治資金規正法違反事件について、「国民の信頼を損ねることになり、心より深くおわび申し上げる」と陳謝した。

再開は午後5時すぎ

 衆院政治倫理審査会は1日午後5時過ぎに再開した。自民党安倍派で座長だった塩谷立・元文部科学相が出席した。

 政倫審は、立憲民主党衆院予算委員会小野寺五典委員長(自民党)に対する解任決議案を提出した影響で、予定していた午後1時には始まらなかった。

午後1時に始まらず

 立憲民主党衆院予算委員会小野寺五典委員長(自民党)に対する解任決議案を提出した影響で、予定していた午後1時には始まらなかった。

「道義的責任はあると思うが…」

 自民党安倍派で事務総長だった松野博一・前官房長官は、同派の政治資金規正法違反事件について、「道義的責任はあると思うが、事務総長の役務として監督責任を求められるものではない」と述べた。

「報告受けたこと一度もなかった」

 松野博一・前官房長官は、事務総長を務めていた期間、同派の経理や会計業務には関わっていなかったと説明した。松野氏は「決済を含め、何か判断を求められたり、報告を受けたりしたことは一度もなかった」と語った。

松野前官房長官「深刻な政治不信を招いた」

衆院政倫審で発言する松野前官房長官(1日午前、国会で)=代表撮影
衆院政倫審で発言する松野前官房長官(1日午前、国会で)=代表撮影

 自民党安倍派で事務総長だった松野博一・前官房長官は、同派の政治資金規正法違反事件を巡り、「国民の皆様の深刻な政治不信を招き、安倍派の幹部の一人として心よりおわび申し上げる」と陳謝した。

還流再開の経緯「承知していない」

 自民党安倍派で事務総長だった西村康稔・前経産相は同派のパーティー券販売収入の還流について、2022年に安倍元首相、会長代理だった塩谷立・元文部科学相下村博文・元文科相世耕弘成・前党参院幹事長と自身が協議してやめることを決めたと明らかにした。7月に安倍氏が死去し、8月上旬に幹部で協議したものの、「結論は出なかった」と説明。その後、還流が再開されたとされるが、経緯については「全く承知していない」と述べた。

「いつ行われたのか承知していない」

 自民党安倍派で事務総長だった西村康稔・前経産相は、同派の政治資金規正法違反事件について「安倍派の会計には一切関わっていなかった」と述べ、自身の関与を否定した。パーティー券販売収入の還流については「いつから行われたのか承知していない」と語った。

西村前経済産業相「国民の政治不信を招いた」

衆院政倫審に臨む西村前経産相(1日午前、国会で)=代表写真
衆院政倫審に臨む西村前経産相(1日午前、国会で)=代表写真

 自民党安倍派で事務総長だった西村康稔・前経産相は1日午前、衆院政治倫理審査会に出席し、「清和政策研究会(安倍派)の政治資金の問題に関し、国民の皆様の政治不信を招いたこと、清和会の幹部の1人として心よりおわび申し上げる」と陳謝した。

2日目が開始

 自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けた衆院政治倫理審査会の2日目が1日午前、始まった。

政倫審に出席する安倍派元幹部の不記載額と弁明・質疑の焦点
政倫審に出席する安倍派元幹部の不記載額と弁明・質疑の焦点

3月1日の政倫審スケジュール

 午前9時10分: 西村康稔・前経済産業相
 午前10時40分: 松野博一・前官房長官
 午後1時: 塩谷立・元文部科学相
 午後2時30分: 高木毅・前国会対策委員長

2日目の焦点は安倍派の裏金の経緯

 

自民党派閥を巡る政治資金規正法違反事件の刑事処分
自民党派閥を巡る政治資金規正法違反事件の刑事処分

 安倍派では、派閥の政治資金パーティー収入を所属議員に還流し、2022年までの5年間に計約6億7500万円を裏金化していたとされる。還流の慣行が始まった時期や経緯、派閥会長だった安倍晋三・元首相が一時、中止を指示したにもかかわらず、継続された背景などを巡って質疑が行われる見通しだ。(1日目の倫理審査会の詳細は こちら )

政治倫理審査会とは?

 政倫審は1985年、田中角栄元首相のロッキード事件1審判決を機に、衆参両院に設置された国会議員の政治的、道義的責任を審査する機関。委員の3分の1以上が申し立て、過半数が賛成すれば、対象議員に出席を要請して審査できるが、要請に強制力はない。最近では、09年7月に民主党鳩山由紀夫代表(当時)の偽装献金問題をテーマに審査が行われたが、鳩山氏本人は出席を拒否した。参院での審査実績はない。

政治資金規正法」不祥事のたびに改正

 政治腐敗を防止する目的で、1948年に議員立法で成立した「政治資金規正法」。事件が起きるたびに改正されてきた歴史がある。(詳しくは こちら )

「パーティー」とは?

政倫審の日程と焦点
政倫審の日程と焦点

 政治資金を集める目的で派閥や議員が開く「パーティー」。その実態は?(詳しくは こちら )

 

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