「条例改正の専決処分は無効」が確定 小金井市が「控訴しない」と発表、保育園の入園不許可も取り消し(2024年3月4日『東京新聞』)

 
(イメージ写真です)

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 東京都小金井市の前市長が市立保育園2園を廃止する条例改正を専決処分で行ったのは違法だとし、子どもの入園を希望した女性(31)への入園不許可の取り消しなどを命じた東京地裁判決について、市は4日、控訴しないと発表した。専決処分を無効とした判決が確定する。
 市は「判決を重く受け止め、強い思いで控訴しないことと決断いたしました」とする白井亨市長のコメントを発表。入園不許可を取り消し、女性の子どもの入園に向けた手続きを進めると明らかにした。
 地裁は2月22日、専決処分による条例改正を無効とし、市に慰謝料10万円の支払いも命じた。(岡本太)
 
 

小金井市の保育園廃止条例は「無効」 東京地裁(2024年2月2日)

 東京都小金井市が市立保育園2園を段階的に廃止する条例改正を市議会の議決を経ずに専決処分で決めたのは違法だとして、廃止対象の園に入園を希望する子供の母親が市に入園不許可処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。岡田幸人裁判長は、専決処分が「違法」で条例改正も無効と判断。入園不許可処分を取り消した。

 地方自治法は議会が「議決すべき事件を議決しないとき」などに首長が専決処分をできると定めており、この場合にあたるかが争点だった。

 西岡真一郎前市長は令和4年9月、市立保育園2園を9年度末までに段階的に廃止する条例改正案を市議会に提出。議会は継続審議としたが、前市長は専決処分で条例を改正した。

 原告は市内在住の女性。当時0歳児だった第2子を5年度から廃止対象の園に通わせようとしたが、専決処分により0歳児募集が停止。利用申請書を提出したが、不許可となった。

 岡田裁判長は、廃止対象の2園の建物が老朽化していたことなどを踏まえても、条例改正が「客観的に緊急性が高いものだったとまでは言えない」と指摘。市議会での議決を得ることが不可能だったとも言えず、専決処分は違法だったと判断した。

 その上で、条例改正を前提とした入園不許可処分を取り消し、精神的苦痛を与えたとして10万円の支払いも命じた。

 市議会は4年10月に専決処分を不承認とし、前市長は辞職。現市長の白井亨氏は同年12月に廃園を撤回する条例案を市議会に提出したが、否決された。

 判決を受け、白井市長は「判決内容を精査し、今後の対応を検討したい」とコメントした。