「手話は言語」明確化 普及促進(2024年3月1日『読売新聞』)

府中市 条例改正へ

 府中市は現行の「手話の普及及び障害者の意思疎通の促進に関する条例」(手話条例)を見直し、基本理念で手話が「言語」であることを明確にする。市は災害時を含め、聴覚障害者が必要な情報を取得し、円滑な意思疎通を図るための措置を講じていく。


 同条例は、聴覚障害者が不便や不安を感じることなく生活できる地域社会の実現などを目的に、2021年4月に多摩地域の26市で初めて施行された。

 

 市障害者福祉課によると、来年11月には聴覚障害者のスポーツ大会「デフリンピック」が都内で開催され、同市はレスリングの競技会場となることが決まっている。市では、デフリンピックを契機に、聴覚障害者が手話を使いやすい環境づくりに力を入れる考えで、条例の基本理念にも、手話を言語の一つとして位置づけることにした。

 

 デフリンピックを踏まえ、市は、市民や市職員を含む事業者を対象とした手話体験講座を実施。大会運営でも、手話通訳者や手話サークルと協働するなど、聴覚障害者への理解を図っていくという。同課の担当者は「障害の有無を問わず、互いに尊重、共生して過ごせる社会の一助になれば」と話している。

 

 市は、同条例の一部改正案を開会中の市議会定例会に提出しており、可決されれば3月下旬に施行する方針という。

 

第15号議案 
府中市手話の普及及び障害者の意思疎通の促進に関する条例の一部を改正する条例 
上記の議案を提出する。 
令和 6 年 2 月21日 
(説明) 
提出者 府中市長 高 野 律 雄 
手話の普及における基本理念等を見直すとともに、災害時等における障害の特性に応じた意思疎通の促進に関する措置を追加するため、所要の改正を行うもの
であります

府中市手話の普及及び障害者の意思疎通の促進に関する条例(令和3年3月府中市条例第7号)の一部を次のように改正する。 
前文のうち第2項中「あることから」の次に「、手話が言語の一つであるとの認識の下」を加え、第4項中「人々が」の次に「、言語として手話を自由に使用しながら」を加える。 
第3条第1号中「普及は」の次に「、手話が言語の一つであり」を加える。 
第4条中「普及」の次に「(手話を言語として普及することを含む。第7条第1項第1号において同じ。)」を加える。 
第7条の見出しを「(施策の推進等)」に改め、同条に次の1項を加える。 
2 市は、災害その他のあらゆる場面において、障害の特性に応じた意思疎通手段を必要とする者が必要な情報を取得し、円滑に意思疎通を図るための必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 
第8条中「前条各号に掲げる施策を推進する」を「前条第1項各号に掲げる施策を推進し、及び同条第2項に規定する措置を講ずる」に改める。 
付 則 
この条例は、公布の日から施行する。