県立図書館の本をネットで(2024年3月4日『宮崎日日新聞』-「くろしろ」)

 80万冊超の蔵書数を誇る県立図書館にはなくて、地方の一図書館のみに置いてある本というのは少なくない。仕事柄、延岡から日南市まで県内各地の図書館の利用者カードを作り、直接借りに出向いている。

 とはいえ宮崎市に住んでいるため、同市立図書館と県立図書館で大半の本は調達することができる。恵まれた環境にあることに改めて気付く。宮崎市外の人が県立図書館の本を借りる際には「マイライン」というサービスがあるが、届くまでに若干日数がかかる。

 そんな中県立図書館がネット上で閲覧できる電子書籍を新年度、つまり2024年度から導入する。電子書籍の取り扱いは宮崎、延岡市の図書館に続き3例目。調べ物に活用できる図鑑や事典など約4千点を提供する予定という。読み上げ機能が付いた書籍もあるらしい。

 県立図書館によると22年度の同館の個人の貸出冊数は、およそ33万3千冊。このうち宮崎市外に住む人は6%強にとどまる。4千点とはいえ、居住地域や障害の有無にかかわらず県立図書館の本が利用しやすくなるということは、県内全域での読書環境を充実させるという点において大きな前進だ。

 県立をはじめ県内の図書館に関する近年の記事を振り返ると、借りた本の履歴を記録する「読書の通帳」の導入など面白い話題が多い。これら各自治体の取り組みもあいまって、県内の図書館全体の魅力が今後さらに高まっていくことに大いに期待している。