■懇談会で“マイク切り” 伊藤環境大臣が直接謝罪
「この度は5月1日の環境省の者が、マイクをしぼって誠に申し訳ございませんでした」
謝罪した相手は、遺族で水俣病患者連合副会長の松﨑重光さん(82)です。
伊藤大臣は謝罪後、水俣病と認められず亡くなった松﨑さんの妻・悦子さんの位牌に手をあわせました。
松﨑重光さん
「懇談会をまだ別に慌てて双方するよりも、よく落ち着いてお話を聞いていただき、また話していただけたら」
ことの発端は5月1日、水俣病の患者・被害者団体から話を聞く場として開かれた懇談会。
松﨑重光さん
「(私の妻は)去年4月に『痛いよ痛いよ』と言いながら死んでいきました」
松﨑さんが亡くなった妻・悦子さんの苦しみや思いを訴えるさなか…
松﨑重光さん
「私はいつも家内と話していました…」
「申し訳ございません、お話をおまとめください」
環境省の職員が発言を制止。そして…
参加者
「スイッチが切られた」
事前に伝えていた持ち時間の3分を過ぎたとして、マイクの音量が絞られました。
参加者
「聞いてやれーな、大臣」
参加者
「マイクを切ったことについて、どういうふうに思われますか」
伊藤環境大臣
「私はマイクを切ったことについては、認識しておりません」
■環境省職員に「(マイク)切ることがあれば使わないでいい」
一週間以上経った、8日。
伊藤環境大臣
8日夕方、約束の時間に5分遅れで会場入りした伊藤大臣。参加者一人ひとりに頭を下げました。
参加者
「患者や患者団体を極めて愚弄して、環境省の歴史に消し難い汚点を残したのではないか」
参加者
「問題はその場に同席した大臣自らが司会者に対して、きちんと監督指導すべきだったと思うんですよ」
伊藤環境大臣
「監督指導、非常に大事だと思います。環境省3000人くらいいるんですけど、全部把握して、環境省も所掌が非常に広いです。私もまだ日が浅いですが、一生懸命勉強して、みなさんのご期待に応えるような大臣の仕事をしたい」
大臣に続いて、松﨑さんのもとを訪れたのは司会を務めた職員。
環境省が改めて設けるとした懇談の場について、松﨑さんはこう問いかけました。
松﨑重光さん
「そのときもマイクは使いますか?切ることがあれば使わないでいいですよ、もう。この通り話しますんで。マイクなんか使ったって何ともならんとです。切れば切ったで、人間の感情を無駄にふやかすような結果になると思う。国会の人たちは、一般の人間の話を聞いとらんということですもんね」
■トラウデンさん「懇談会で大臣が『もう少し聞きましょう』と言っていれば…」
小川彩佳キャスター:
1週間経ってようやく大臣が直接謝罪となりました。
トラウデン直美さん:
そもそも最初の懇談会の場で大臣が、「もう少し聞きましょう」と一言言っていれば、ここまで大きくなることはなかったのではないでしょうか。
何より、懇談会は「どんな思いをしたか」ということを伝える場であるはずなのに、声を届けている最中にマイクを切られてしまうという、声を届けられない、声が届かないことを目の当たりにしてしまったという気持ちも持たれたかと思います。
「ちゃんと声は届いている」ということを、この先の対応や行動でみせていただきたいなと思いますね。
TBS NEWS DIG Powered by JNN