高野連には〝絶対服従〟-の風潮に一石投じる盛岡誠桜高の主張 選抜選考対象になったら…学校のナマ声聞きたい(2024年3月3日『サンケイスポーツ』ー「甘口辛口」)

■3月3日 日本高野連が3月1日の全体審議委員会で、日本学生野球憲章違反の疑いが生じた事象の調査要請に対し、期限までに報告書提出に応じなかった盛岡誠桜高(岩手)について、日本学生野球協会審査室へ指導者の処分を上申すると発表した。5日開催予定の審査室会議でジャッジが下される。

 高野連には〝絶対服従〟-の風潮に一石を投じた盛岡誠桜高の主張はこうだ。3年生部員の引退後の飲酒、野球部指導者の生徒に対する暴言などが指摘されたが、共同通信社の取材に対し、当該生徒は既に自主退学、指導者の行為は野球部の活動とは無関係だと説明。学校の自治を訴え、抗議するとともに、報告書を提出しなかった。

 同校のホームページによれば1948年に「久保学園高等学校」として創立。「盛岡女子高等学校」を経て、男女共学に伴い、現校名に改められたのが2013年。これが高野連に対し、初めて「モノ申した学校」の沿革。一般的な横顔を持つ私学高が前例に従うことを拒否した。


 初の甲子園を目指す野球部は、昨夏の岩手大会準々決勝で佐々木麟太郎を擁する花巻東高に1-8で七回コールド負け。秋の大会では1回戦で敗退した。夏の予選を制すれば、それでいい。この先、秋季東北大会で当落線上の成績を残し、選抜選考の対象になったら…「サクラ、サク」でも「チル」でも第三者は複雑な感情が芽生えてしまう。

 今回の騒動からは目が離せない。だからこそ、この際、学校が会見を開くのはどうか。前代未聞の〝盛岡誠桜高の乱〟。熟考した上での決断と行動であり、一連の流れに納得できない部分は多々あるはず。当事者の思いをナマの声で聞きたい。少なくとも時間を割く価値はある。(稲見誠)