能登半島地震を受けて新年度に防災対策を強化する自治体が6割に上ることが読売新聞の調査で分かった。47都道府県と20政令市、それ以外の県庁所在地31市の計98自治体を対象に、新年度予算案で新規または拡充した防災対策について、建物の耐震化や避難所の整備などの項目を複数回答で選んでもらったところ、59自治体が該当する事業を挙げた。
項目別で最も多かったのは建物の耐震化で、29自治体にのぼった。具体的には木造家屋の耐震診断や改修費の助成の拡充などを挙げた。1981年以降の新耐震基準を満たした住宅の割合(耐震化率)は、石川県の奥能登地方は5割程度で全国平均(9割)より低く、倒壊家屋の下敷きになった犠牲者が多かった。
同県に隣接する福井県は、改修費を10割補助(上限150万円)とする。県建築住宅課によると、高齢の所有者は金銭的な負担感から耐震化を敬遠しがちなため、自己負担を減らして耐震化を進めたいという。
今回、長期に及ぶ断水が避難生活をさらに過酷にしており、新年度の事業に避難所の環境整備を盛り込む自治体も目立った。東京都は40万人分の携帯トイレを追加購入するほか、大阪府はトイレトレーラーなどを導入する。
携帯電話の基地局が機能停止し、通信手段の確保も課題となった。東京都は、米宇宙企業スペースXの衛星通信網「スターリンク」を利用するため、都庁と都内全区市町村に専用アンテナ77台を配備する。大阪府や山梨県、静岡県なども導入する。
能登半島では幹線道路が寸断して、多くの集落が孤立し、救助や復旧に支障が出た。長野県は、道路の迂回(うかい)機能を強化する事業費を増額。大型車両がすれ違えないような道路の拡幅や、土砂崩落などのリスクがある道路の補修などの予算を計上した。