日本は、新たな脱炭素技術を開発し、石炭火力への依存度を下げていきたい。
日本では、十分な排出削減対策が取られている石炭火力は多くないとされる。対策は急務だ。
昨年12月の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が採択した成果文書では、「この10年で化石燃料からの脱却を加速させる」と明記した。
G7の合意は、電力の安定供給に支障が生じるなど各国の事情を考慮し、35年以降も石炭火力の稼働を継続できる余地も残した。
日本は現在、石炭火力で電力の3割を賄っている。電力の安定供給を確保しながら、石炭火力から出るCO2を着実に減らしていく施策を講じるべきである。
また、発電所から出るCO2を回収して地中に閉じ込める「CCS」という技術を30年までに実用化することも目指している。
そうした日本の取り組みに対し、欧米からは「石炭火力の温存につながる」との批判もある。
だが、アジアの新興国など石炭火力に頼る国は多い。日本が新たな脱炭素技術を確立すれば、これらの国の経済発展と温暖化防止の双方に役立つはずだ。
政府が、今年度、改定するエネルギー基本計画も焦点になる。
21年作成の現行計画では、30年度時点の電源構成の目標として、電力の19%を石炭火力で賄う計画となっている。新たに示す35年度以降の電源構成で、その割合は、さらに下がるとみられている。