自民・公明・維新・国民〝4党連立〟次期衆院選で大再編か 健闘の日本保守党「全国なら勝利確実」 立民が政権交代に至らない理由(2024年5月9日)

3つの選挙区で争われた衆院補選は、いずれも立憲民主党の候補が勝利した。立憲民主党がこの勢いを続けたら「政権交代もあり得る」という見方も現実味を帯びてきた。だが、私は否定的だ。立憲民主党は「自民党の自滅」と「共産党の支援」で勝ったにすぎない。

立憲民主党は、なぜ3連勝という「離れ業」ができたのか。

最大の理由は「自民党の自滅」である。それは自民党が東京15区と長崎3区で自前候補を擁立できなかった時点で明らかだった。候補を立てた島根1区でも、普通なら本来、負けるはずのない財務省出身の新人、錦織功政氏が、立憲民主党の元職、亀井亜紀子氏に惨敗した。

NHKの出口調査によれば、自民党支持層で約3割の有権者が亀井氏に投票していた。自民党vs立憲民主党の対立構図から考えれば、考えられない事態だ。支持政党が「特になし」の層では、亀井支持が7割以上に上った。それほど自民党は嫌われてしまったのである。

もしも、いま衆院解散・総選挙を行えば、同じ現象が全国で起きて、自民党は大敗北を喫するだろう。自民党議員が「岸田文雄首相による解散絶対阻止」に動くのも当然だ。

だが、総選挙で自民党が敗北したとしても、政権交代が起きるかと言えば、そう簡単ではない。立憲民主党単独過半数をとるのは、ほとんどあり得ず、共産党との連立ないし協力が不可欠であるからだ。

それは、衆院補選の東京15区が象徴している。立憲民主党が擁立した酒井菜摘氏の勝利は、共産党が独自候補を降ろして、酒井支援に回った効果が大きい。自民党vs立憲民主党の一騎打ちになった島根1区も、NHK調査によれば、共産党支持層は、ほとんど立憲民主党候補の亀井亜紀子氏に投票していた。 

■立民「躍進」も政権交代には至らない

ところが、例えば日本維新の会や国民民主党が「共産党の入った連立政権」に参加するか、と言えば、難しい。「日米安保廃棄」や「自衛隊解消」を綱領に掲げた共産党とは、とても組めないからだ。そんな連立政権に加わったら、既存の支持者からもそっぽを向かれてしまうに違いない。

結局、立憲民主党が総選挙で議席を大きく伸ばしたところで、政権交代には至らない可能性が高い。

逆に、自民党公明党と合わせても過半数を握れなければ、日本維新の会や国民民主党に声をかけるだろう。連立相手の数が増える分だけ、政権運営は不安定になるが「政権を失うよりはマシ」と考えるはずだ。

解散・総選挙の時期にもよるが、かくて日本の政治は自民党を軸にした3党連立、または4党連立の可能性が高まってきた。今回の衆院補選が示す政治潮流の第1点だ。

新しい政治集団「日本保守党」の健闘も見逃せない。東京15区で同党から立候補した新人、飯山陽(あかり)氏の戦いは異例だった。

ネット上では連日、飯山氏の名前がトレンド入りし、街頭演説も「聴衆の半数以上が選挙区以外の人だった」という証言がある。つまり、飯山氏は15区のみならず、全国から支持を集めて戦った。

15区では落選したが、全国規模の戦いとなったら、勝利は確実ではないか。それは、そのまま保守の勢いを示す。今後に期待したい。

 

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