「離島に自宅」届け出の松山市議が交通費を過大受給…実は近くから登庁、議長が注意後も継続(2024年2月28日『読売新聞』)

 自民党松山市議団代表の松本博和市議(63)(3期目)が、市中心部のマンションから登庁しているにもかかわらず、市の沖合にある離島を自宅として届け出て、交通費を本来の額よりも過大に受け取っていることがわかった。昨年9月頃に議長から注意を受けた後も続けており、市議会各会派は対応策を検討する。
 

 松山市議会は、出席日数に応じて自宅からの交通費を支給している。松本市議は同市の沖合約15キロの中島出身で、2014年に初当選。中島を自宅として届け出ている。

 昨年9月頃、市中心部の住民から、10年近く近所に住む松本市議の住所が、市のホームページでは中島になっているとの指摘が市議会に寄せられた。渡部克彦議長は松本市議に対し、「疑惑を持たれないようにしてほしい」と2回注意し、中島から通うよう求めた。

松本博和市議
松本博和市議

 しかし、読売新聞は、松本市議が昨年12月の市議会でも、本会議のあった7日間のうち少なくとも5日間は、市中心部のマンションから車で登庁していたことを確認。市議会から支給される交通費は公共交通機関での最安の料金が適用され、マンションの場合はバス代のみで往復640円だが、中島ではフェリー代と電車代で5倍近い3140円とみられる。

 松本市議は取材に対し、マンションは事務所として借りているとし、「泊まることは多々ある。島に帰る船の最終便が午後7時半発と早く、帰れば議員活動が十分に行えない」と説明。「中島の住民の支持を得て当選した以上、自宅の住所を移すことはできない。交通費の支給をやめればこんな問題は起きない」と述べた。

 渡部議長は取材に各会派で対応を協議するとし、「市民から疑念を持たれるのなら、市議会全体で交通費の支給をやめることもありえる」と述べた。

 全国市議会議長会によると、市議に交通費を支給しているのは全国815市の43%(351市)。多くは全員同額か松山市議会のように事前の届け出に基づく支給で、実費支給は6市のみ。領収書の確認作業が煩雑になるため、避けるところが多いとみられる。