マルハラスメント(2024年2月28日『秋田魁新報』-「北斗星」)

 LINE(ライン)など通信アプリで送られた文の末尾に「。」(句点)が付いていることに威圧感を覚える若者が少なくないという。「了解です。」「連絡ください。」「お疲れさまです。」などだ。送り主は主に中高年。マルハラスメント、略してマルハラと呼ばれる

▼テレビなどで最近報じられ、インターネット上でも話題となっている。若者は短文に句点を使わない傾向があり、句点があるとコミュニケーションを遮断されていると捉えたり、淡々とし過ぎて冷たいと感じたりするようだ

▼口頭のコミュニケーションは言葉のリズムなどで文の切れ目が分かるため、句点は必要とされない。書き言葉では古来、句点のようなものは一部にあったが、明治期に教育制度が始まり、国が「まるは文の終止する場合に施す」と定めた。PHP新書「てんまる」(山口謠司著)に書かれている

▼通信アプリでは文のやりとりが会話のように続く。文では当たり前の句点を会話に付けられると、「会話は終わり」と告げられているように感じるということなのだろう

▼気になって、同僚とのやりとりに使っている通信アプリを見ると、50代間近の自分も20~30代の記者も文に句点を付けていた。お互いに使っていれば、マルハラとは言われまい

▼ただ、アプリ上で文字だけのやりとりをしていて相手の心情をくみ取りにくいときは確かにある。誤解や行き違いが生じないよう、日頃のコミュニケーションが大切ということか。