マルハラ(2024年2月25日『東奥日報』-「天地人」)

 マルハラスメント、略してマルハラ。交流サイト(SNS)などで「分かりました。」などと句点の「。」を付すと受け手は威圧や恐怖を送り手に感じるのだとか。既に4度使ったがSNSではないのでお許しを。

 一部報道で注目された。LINE(ライン)などの若者同士の送受信は対話よろしく1文ごとで句点なし。中高齢者が句点を使って送信すると、対話を遮断して怒っているように思うのだそうだ。よもやとスマホを開き、自分の過去の送信文を読み返し慌てた。

 そもそも句点多用の長文は若者の読む気をそぐらしい。ならばと短文化して句点を省くのも風潮に合わせたようで癪(しゃく)だし、1文ごとにやりとりする早打ちもできない。「マルハラなんてマスコミが面白がっているだけ、冷静に」とする若者もいるが、この騒ぎも大げさに言えば世代間断絶かと不安が募る。

 TBS系ATVのドラマ「不適切にもほどがある!」は、時空を超えて昭和と令和の今を行き来するモーレツ教師が主人公。40年近く前の昭和的常識を振りかざす主人公の言動に戸惑う現代人を見て大笑いしつつ冷や汗が出る。世代間ギャップがこれほど大きくなっていたとは。

 マルハラ騒ぎに歌人俵万智さんが寄せた一首がうれしい。<優しさにひとつ気がつく ×でなく○で必ず終わる日本語>。マルにこもる温かさがどの世代にも伝わればいい。

 

http://マルハラ」なる言葉も誕生! LINEの文末に「。」は本当に不適切 ...