日本語を学ぶ子どもたち(2024年2月26日『山陽新聞』-「滴一滴」)

 平日の午後5時すぎ。JR岡山駅にほど近いオフィスビルにある民間塾に、ランドセルを背負った子どもらが吸い込まれていく。この日集まったのは15人。全員が外国人だ

▼ひらがなやカタカナを読み書きする子がいる。プリントを解いていく子もいる。塾は岡山市内の公益財団法人の委託で昨年末に開講した。週2日、日本語と教科を無料で教える。子どもたちはインドやトルコ、パレスチナなどの出身で同市内の小中学校に通っている

岡山県内で暮らす外国人は約2万9千人(昨年10月1日現在)と過去最多を更新した。背景には人手不足による受け入れ拡大があり、今後も増え続けるとみられる。日本語が不自由な子どもへの学習支援は大きな課題になってきた

▼県内では市民有志らによる無料や低額の日本語教室が16市町の39カ所(同6月時点)で開かれている。県や県教委は教員を加配してのマンツーマンに近い授業や、日本語教育のボランティアを学校に派遣する事業にも取り組む

▼在住外国人が最も多い岡山市では今年6月に市内12カ所目となる日本語教室を開設。通いやすいよう日曜日に開催する計画という

▼「将来は医師になり、母国のアフガニスタンで働きたい」。冒頭の塾に通う中学生の一人はそう話した。官民の支援で、子どもたちのそんな夢に寄り添う地域でありたい。