学校給食(2024年2月24日『山形新聞』-「談話室」)

▼▽子どもたちにとって給食は学校に行く楽しみの一つであろう。40年ほど前の筆者は登校前、献立表にカレーを見つけて足取りが軽くなった記憶がある。人気メニューを心待ちにするのは今の子もそう変わらないようだ。

▼▽22日付本紙からそんな様子が伝わってきた。村山地域を中心に学校給食の定番メニューとして親しまれたソフト麺の話題である。製造元の事情で、これが最後という味を天童市内の児童がかみしめた。思い出の一杯は、いつものおいしさでみんなの笑顔を引き出してくれた。

▼▽学校給食が鶴岡から始まったのは有名だ。貧しい子どもたちの教育の場として地域の住職らが開いた「忠愛小学校」で、弁当を持参できない子どもに無償で提供された。1889(明治22)年のことである。おにぎりに塩引き、煮浸しや漬物。さぞやうまかったことだろう。

▼▽近年、子育て支援の一環で給食を無償化する動きが増えている。県内は9市町村が実施済みで、後に続こうとする自治体もある。ただ、青森では県内全小中学校で今年10月に一律無償化を実現させるという。“発祥地”がある本県として先を越されたと感じる人もいようか。