8019万円のクジラ「淀ちゃん」処理費、市民グループが住民監査請求へ「支払う義務のない金額」(2024年2月25日『読売新聞』)

 昨年1月に大阪湾に迷い込んだクジラの死骸処理費が大阪市の試算の2倍以上に膨らんだ問題で、市が積算根拠がないまま委託業者の増額要求に応じたのは不当だとして、市民グループ「見張り番」が、近く市に住民監査請求を行うことがわかった。市に対し、業者に支払う必要のなかった金額の返還などを求める。

海に沈めるため、クレーンで船に移されたクジラの死骸(2023年1月18日、大阪市此花区で、読売ヘリから)
海に沈めるため、クレーンで船に移されたクジラの死骸(2023年1月18日、大阪市此花区で、読売ヘリから)

 「淀ちゃん」と呼ばれたクジラは昨年1月13日、淀川河口付近で死んでいるのが確認された。市大阪港湾局は市内の海運会社に死骸の海洋投棄を依頼。6日後に紀伊水道沖に沈められた。

 処理費は後払いで、同局は昨年3月初め、費用を3774万円と試算したが、同社の提示額と2倍以上の開きがあった。市は同月30日、試算額を引き上げ、翌31日、8019万円で同社と随意契約を結んだ

契約交渉の過程では、同局の経営改革課長が市の試算額を積算根拠なく8000万円に引き上げるよう局長らにメールで進言していた。見張り番は「8019万円は支払う義務のない金額で、正当な費用との差額について市に損害が生じている」と指摘。業者への返還請求のほか、契約に関わった市職員らへの損害賠償を行うよう求める。

 処理費を巡っては、市契約管財局が契約が適正だったかの調査を進めている。