就職氷河期に社会に出た40~50代頭の「ロスジェネ世代」は辛抱強く、仕事への意欲が比較的高いとされる。半面、無意識のうちに培われた職業観を押し付ければ今の時代、非常識とそしりを免れない。

 ロスジェネ世代の放送作家鈴木おさむさん(51)が自身に「ソフト老害」という新たな言葉を使って話題になっている。番組会議で自分が意見を出したところ、若手が準備した映像がカットされて構成が変わったとのちに聞き、自分が老害になっていると気付いた。

 ソフト老害は職場で上司と部下の間に入り、バランスを取るところから始まるという。一定のポジションを与えられ、経営陣の考え方も分かる世代。上司にすり寄りつつ、若手には「俺は君たちの味方だ」と二面性を使い分ける。そんな振る舞いが「うざく」受け止められる。思い当たる節があり、胸に手を当てた。

 鈴木さんは「うまくやろうと思うから逆にソフト老害になる。オブラートに包まず伝え、正面から嫌われてみては」と提案する。なるほど、時に嫌われる勇気か。流行の言葉と思いきや、哲学的な意味を持ち合わせていると気付かされた。

 当然だが、常に嫌われる勇気を振りかざすのは、それこそ老害以外の何物でもない。まずは自分がソフト老害かもしれないと自覚し、少しでも変わろうとする。そんな努力を続けるうちに「この人は信頼に値する」と思われるかもしれない。(玉)