災害時に、支援が必要な高齢者や障害のある人などが身を寄せるのが「福祉避難所」です。
災害弱者といわれる人たちの命をつなぐ重要な場所ですが、今回の能登半島地震では施設や職員が被災して開設できなかったり、開設しても避難者を受け入れられなかったりする施設が相次ぎ、そのあり方が課題となっています。
39施設と協定も開設は15か所
人手不足で運営できなくなっているケースも
輪島市の特養 職員約120人→約40人に
臨時託児所を設けるも深刻な人手不足続く
断水が続く中、特殊な浴槽を必要とする寝たきりの入所者が1か月以上入浴できず、床ずれの症状が悪化する懸念があるため、水を使わないシャンプーでしのぐなど目の前の対応に追われ、受け入れを再開できるめどは立っていないということです。
事務長「避難者受け入れたいが職員が潰れてしまう」
施設の事務長の小泉純一さんは「その日その日の対応で精いっぱいで、今は先が全く見えない。本当は避難者を受け入れたいが、職員が潰れてしまうので今は止めさせてもらっている。次の行き先が決まらない人が多ければ新たな受け入れは難しく、今いる入所者を今いる職員で守っていきたい」と話していました。
ボランティアに支えられ運営
ボランティアの介護士「被災した職員が休息でれば」
大阪からボランティアで来た介護士の男性は「入所者が明るい気持ちになれたり、被災した職員が少しでも休息できたりすればと、ボランティアに来ました」と話していました。
別のボランティアの男性は「介護の現場は人手不足なので1つの施設から何人も抜けることはできませんが、複数の施設で協力し合って人を出せば、数か月の持続的な支援ができると思います」と話していました。
避難者の受け入れ希望の電話 断らざるをえない
一方、施設には地域を見守るケアマネージャーや近隣の病院などからも避難者の受け入れ希望の電話がほぼ毎日かかってきていますが、受け入れは今の人数が限度で、断らざるをえないといいます。
避難者が2次避難先に移れば余裕が生まれますが、住み慣れた土地を離れたくないという人も多く、中には避難中に施設のサービスの利用を申し込んだ人もいたということです。
管理者補佐「私たちだけではどうにもならない」
施設の管理者補佐をつとめる山岸丈哲さんは「避難者を待たせていて心苦しく、本当は受け入れたいが、今いる避難者がこの町から離れたくないという気持ちもわかる。私たちだけではどうにもならない」と歯がゆい思いを口にしていました。
そのうえで山岸さんは福祉避難所のあり方について、「建物が使えるのかどうか、電気が通っているのかなど、開設にあたっては明確な区分けが必要だ。避難者がどこにいてどんな支援を必要としているのか、関係機関との情報共有も今後さらに必要になると思う」と話していました。