日常生活や災害時、ろう者の困りごと学ぶ 石巻で座談会 「情報共有の大切さ再認識」(2024年2月11日配信『河北新報』)

 

災害に関する手話を学ぶ参加者

 

 耳が聞こえない人とのコミュニケーションを考える座談会が4日、石巻市中央2丁目の交流・創作活動拠点「いしのまき MANGA lab.ヒトコマ」であった。ろう者や手話学習者ら約15人が参加し、聴覚障害者が抱える日常での困難や東日本大震災時の経験を話し合った。

 ろう者の同市末広町のパート従業員大田原千緒理(ちおり)さん(61)が司会を務めた。大田原さんはろう者とのコミュニケーションについて「怒っている、危険が迫っているなど表情をはっきり付けると伝わりやすい」とアドバイス医療機関などコミュニケーションに補助が必要な場で通訳者の同席が認められないなど、ろう者が日常で直面する困り事を伝えた。

 手話サークルに所属する同市中里1丁目の50代パート従業員女性は、手話を交えて自身の被災体験を話した。女性は「情報共有の大切さを再認識した。ろう者が身近にいる時はジェスチャーでもいいから伝えたい」と述べた。

 通訳を介して手話や文字で電話できる「電話リレーサービス」や、音声をその場で文字に起こすアプリ「UDトーク」など、聴覚障害者との交流に利用できるシステムの紹介もあった。

 座談会は、生活で感じる問題や関心をアートや表現の視点で考える「みのたけ学びシリーズ」の2回目。同市の芸術関係者でつくる「石巻アートプロジェクト」が主催した。