【第一部】長男が4カ月のときに妻を亡くした清水健さん
◆がんが全身に転移、どんな言葉をかける?
妊娠中に妻の乳がんが分かり、乳房の全摘手術をしました。息子が生まれた1週間後、妊娠中はできなかったCTなどの検査をし、僕は一人で結果を聞きました。先生はひと言。「清水さん、ひどいよ」。がんが全身に転移していて、もう何もできない状態でした。
「子育て中は自分のことは後回しになってしまいがち」と話す清水健さん
想像してください。みなさんが僕と同じ立場だったら、どんな表情で妻のもとに帰りますか? どんな言葉を一番初めにかけますか? 待っている立場だったら、どんな言葉をかけてほしいですか? 答えなんてありません。どんな言葉でも正解です。
◆「ありがとう」を伝えよう
病室で待っていた妻は、「どうだった?」と聞きました。僕は本当の病状を伝えませんでした。妻には「まだまだ息子といられる」と思って息子と向き合ってほしかった。でも、9年たった今でも、あれでよかったのかなと振り返る僕がいます。息子の成長を感じるたびに「なんで一緒に見られへんの?」と思っています。
みなさん、日々子育てに仕事に大変だと思います。自分自身を思い切り甘やかして、大切にしてください。そして、隣にいる家族に、ぜひ「ありがとう」を伝えてください。僕は最後まで「ありがとう」が言えなかった。伝えたら妻は「どうして?」と聞く。妻の意識がなくなって初めて伝えることができたんです。今という一緒にいる時間があるのなら、「ありがとう」という言葉、かけていきましょうね。
【第二部】「シナぷしゅ」を立ち上げ・飯田佳奈子さん
第二部は、民放初の乳幼児向け番組「シナぷしゅ」の生みの親で、テレビ東京の同番組統括プロデューサー飯田佳奈子さん(36)が登場。6歳と1歳の子を育てる中での健康管理や仕事との両立について、来場者にメッセージを投げかけました。
◆夫とデート感覚で人間ドックと脳ドックに
仕事と子育ての両立は大きなテーマですが、みなさんには「両立する必要ってあるんだっけ」とお伝えしたい。私も両立という言葉にすごく苦しみました。
◆抜け落ちたっていい、自分に上手に言い訳を
家では子どものことを、会社では仕事を一生懸命にやって、それでも抜け落ちることもある。それでいいと思います。両立と考えるととても難しくて苦しい。
子どものことは読めません。「来週、仕事をこういうふうに頑張ろう」と思っても熱を出したり。ポジティブに過ごすために「とりあえず目の前のことを一生懸命やる」ことを心がけています。事前に深く考え過ぎてもうまくいかないことも多いので、今は目の前のことに集中して、自分に上手に言い訳をしながら生きていってほしい。私もそうしています。
◆文・今川綾音/写真・池田まみ、浅野有紀
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乳幼児向け番組「シナぷしゅ」(テレ東系)のキャラクター「ぷしゅぷしゅ」(写真奥(右))も登場し、じゃんけん大会で盛り上がる会場
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