パワハラでなく「指導の範囲」と説明、兵庫県知事の記者会見を見た県職員「非常に言いようのない思いがあった」(2024年8月31日『読売新聞』)

 兵庫県の斎藤知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題を巡り、30日に行われた県議会の百条委員会の証人尋問で、職員らが、告発文書で指摘されていたパワハラ疑惑について証言した。
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斎藤知事らの証人尋問が行われた百条委員会(神戸市中央区で)=八木良樹撮影
 公開での証人尋問に臨んだ杉浦正彦・公益財団法人兵庫県まちづくり技術センター理事長は、知事の「机をたたいて激怒する」との疑惑について証言。2021年9月、当時土木部長だった杉浦氏は、報道された内容に関して知事に呼び出されたといい、「『意思決定を、県としてしていないことを(報道で)先に出すのはよくない。許せない』という趣旨の発言だった」と 叱責しっせき されたことを説明した。
 当時の状況を聞かれ、「(知事が)片手で1回か2回(たたいた)」「両手だったかもしれない」「声は荒らげた」と振り返った杉浦氏。委員から「パワハラではないか」と聞かれると、「机をたたくのは、仕事として必要ない行為。机をたたくことで怒りを表現する必要はなく、口頭で注意すればいい」と答えた。
 同じく公開で質問に答えた野北浩三・東播磨県民局長は、「20メートルほど歩かされただけでどなり散らした」との疑惑に関し、当時の知事の口調は「かなり激しい、強い調子。どなられたという認識だった」と述べた。
 委員から、知事が記者会見などで「指導の範囲」などと説明していることを聞かれ、「指導の範囲内とは思えないような言い方。記者会見を見ていて、非常に言いようのない思いがあった」と語った。
 共産党県議団は30日、県議会として斎藤知事の辞職を求める態度表明を行うよう、浜田知昭議長宛てに文書で申し入れた。
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 文書では、一連の問題について「処分ありきの内部調査に対し、批判の声が広がるとともに、告発者の死という最悪の事態を含む混乱に陥っている」と指摘。県議会として知事の疑惑の解明を徹底して行うことが必要としつつ、多くの県民が知事の辞職を求めているとし、「世論を受け止め、不信任決議など、県議会として、とりうるあらゆる手立てにより、斎藤知事の辞職を求める態度表明を行うよう強く申し入れる」とした。

兵庫県議会として齋藤元彦兵庫県知事の辞職を求める態度表明についての申し入れ
兵庫県議会議長 浜田 知昭 様
 日頃より県政発展のために尽力いただいていることに敬意を表します。
 齋藤元彦兵庫県知事の違法疑惑の文書による告発から5カ月が経過しました。
 齋藤知事は、告発文に対し、「事実無根」「うそ八百」「公務員失格」ときめつけ告発者を解職し、懲戒処分を行いました。
 しかし業者からの贈答品や、職員への叱責などの事実が明らかになり、告発文書が「事実無根」「うそ八百」とは言えないことは明白です。処分ありきの内部調査に対し、批判の声が広がるとともに、告発者の自死という最悪の事態を含む混乱に陥っています。
 齋藤知事は、「処分は適正だった」「業務上必要な指導であった」「県政を前にすすめるのが私の責任」などと繰り返すのみで、告発に対し、真摯に向き合うことも、反省もない姿に県民からの怒りと知事辞職を求める声が大きくなっています。
 停滞と混乱から抜け出し県政の正常化をはかり、県職員のみなさんが、県民の奉仕者として、生き生きと力が発揮できるようにすることが求められています。
 日本共産党兵庫県会議員団は、すでに齋藤知事に対し、「こうした事態を招いた責任をとり、辞職することを強く求める」という見解を表明し、知事にも届けています。
 県議会においては、文書問題特別委員会で疑惑に対する真相究明の努力が重ねられており、いかなる事態においても、齋藤知事らの疑惑解明を徹底して行っていくことが必要です。
 同時に、広範な県民が一刻も早く知事が辞職することを求めていることに鑑み、県議会としても知事辞職に対する態度表明が求められていると考えるものです。
 県議会議長におかれましては、県民のこうした世論を受け止め、不信任決議など、県議会として、とりうるあらゆる手立てにより、齋藤知事の辞職を求める態度表明を行うよう強く申し入れるものです。
以上
2024年8月30日
 庄本 えつこ
久保田 けんじ