東京・明治神宮外苑の再開発計画について事業者側が見直し案をまとめ、東京都に報告した。問題になっている樹木の伐採などに関する内容だ。
従来の計画から大幅な変更はなかった。問題点がどこまで改善されたのか。都の環境影響評価(アセスメント)審議会による十分な審査を求める。
約1000本の中高木の伐採・移植や、新球場整備による名物・イチョウ並木に与える影響など環境への負荷が懸念されている。
見直し案公表は年明けごろかとみられたが、東京都知事選後にずれこんだ。事業者側は樹木の伐採数を124本減らしたと説明する。ただ、伐採予定だった樹木を枯れ木と認定してカウントから外したり、移植に切り替えたりした分が多い。現状での保全が新たに確保されたのは66本にとどまる。
再開発問題がこじれた要因は大量伐採の是非だけではない。
住民との合意の形成が後手に回り、事業者の環境影響評価に異を唱えた日本イコモス国内委員会に都のアセス審は意見陳述の場を設けなかった。拙速な手続きは批判と不信を生んだ。見直し案を形式的に受理して済ませてしまうようなことがあってはならない。
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