1人暮らしの単身高齢者が急増する中、身寄りがなくても住まいを確保でき、安心して医療や介護のサービスを受けられるよう環境を整えていくことが欠かせない。政府は報告書を踏まえ、大綱に実効性のある対策を盛り込んでもらいたい。
民間事業者が行うサービスは、身元保証のほか、日々の見守り、各種手続きの代行、遺品整理など多様だ。だが、「定期的な安否確認をしてくれるはずなのに約束が違う」「サービス内容がはっきりしない」といったトラブルが少なくない。
民間事業者の質がバラバラで、当たり外れがあるようでは安心は得られない。一定の質を保ち、引き上げていく方策は不可欠である。
ただ、単身高齢者の支援を事業者任せにするのは適切ではない。保証人がいなければ施設入所や入院が困難な現状も改善すべきだ。自治体、医療、介護、福祉職の連携で解決できる部分もある。関係者は方策を探ってほしい。
住まいの確保も重要だ。現状は高齢者が住み替えようとしても、拒否感を持つ大家が多く、契約が難しい。報告書は、入居後に見守りなどをする「居住支援法人」が活動しやすくなる環境整備を求めた。
このほか、厚生年金を受給しながら働くと賃金に応じて年金額が減る「在職老齢年金」の見直しの検討も盛り込んだ。平成30年に閣議決定した現行の大綱でも触れたが解決されていない。長く働くことを奨励しながら、働く人の年金を減額するのは理屈に合わない。トータルの収入が多ければ税制で調整するのが筋である。
高齢者は支えの必要な人ばかりではない。人口は確実に減っていく。単身者が安心できるとともに、働く意欲のある人が男女を問わず、長く働けるような社会を目指したい。