記者会見する野田佳彦新代表=23日午後、東京都港区(鴨川一也撮影)
かつて「ドジョウ宰相」と呼ばれた野田佳彦元首相(67)が23日、立憲民主党の新代表に選出された。政権交代を果たして再び首相の座に就くことを目指す野田氏に対し、党内の期待は大きい。ただ、いったんつまずけば、党運営が不安定化する可能性も否定できない。
企業が選ぶ立民の「次のトップ」
「私が手を挙げていいのかということが、熟慮の中の一番のテーマだったんですよね…」
新代表に選出された直後に記者会見に臨んだ野田氏は、代表選出馬に二の足を踏んだことを明かした。
野田氏に対しては、首相時代の平成24年に衆院議員任期を半年以上残して衆院解散を断行、民主党を下野させたことへの批判がなお根強い。党内の反感を最小限に抑えて立候補できたのは、周辺がうまく「外堀」を埋め、自然に名乗りを上げることができる環境を整えたからにほかならない。
地元の党千葉県連の有志議員に加え、中堅・若手グループ「直諫(ちょっかん)の会」の重徳和彦衆院議員ら幹部も野田氏に立候補を要請し、代表選出馬の流れができた。党内グループ「一清会」(約10人)を率いる小沢一郎衆院議員の支持も取り付け、党内での支持固めは堅調に進んだ。
とはいえ、そのための方法はまだ判然としない。23日の会見では、他の野党との連携の仕方について「誠意ある対話を続けていきたい」と述べるにとどめた。
代表選で争った3候補に比べると、野田氏は日本維新の会との協調に前向きな姿勢が目立ったが、手を携えるための具体的な道筋は見えない。
仮に、野田氏が代表選で訴えた野党連携や党勢拡大のプランがうまく動かないようであれば、執行部批判が吹き荒れる余地もある。代表選で泉健太氏(50)を支持した議員の一人は、民主が下野した経緯に言及して「絶対許せない」と不信感を口にする。
「自分は5年で返り咲きました。あなたにも、いずれそういう日がやってきますよ」
代表に就任して「そういう日」を見据えて動き出した野田氏だが、道のりは平坦(へいたん)とはかぎらない。(深津響)