中国は台湾の新政権への威圧を強め、また、中国、ロシア、北朝鮮の軍事面での協力が深化しつつある。厳しさを増す国際情勢を踏まえ、政府は防衛力を強化せねばならない。
2024年版の防衛白書が公表された。日本は「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している」との認識を示し、ロシアによるウクライナ侵略と同様の深刻な事態が東アジアで発生する可能性は排除されない、と指摘した。
特に強い危機感を示したのが、中国が台湾周辺で軍事活動を活発化させていることだ。
今年5月に台湾で頼清徳総統が就任すると、中国は台湾周辺で大規模な軍事演習を行った。演習区域には離島も含まれ、22年に当時のペロシ米下院議長が訪台した際の演習に次ぐ規模となった。
白書は、こうした演習について「台湾侵攻作戦の一部が演練された可能性がある」と分析した。中国は頼氏を「台湾独立派」と敵視しており、今後も軍事的な圧力を高めることが想定される。
防衛省は来春、陸海空3自衛隊を平時から一元的に指揮する「統合作戦司令部」を創設する。米国も自衛隊との意思疎通や情報共有を円滑にするため、在日米軍の組織改編を検討している。実効性のある体制を整えてもらいたい。
防衛白書の表紙
令和6年版防衛白書は、国家安全保障戦略などの三文書を踏まえ、増額した防衛予算を使って進めている「防衛力の抜本的強化」の進捗、すなわち、わが国の防衛力、抑止力が順調に強化されている様について、1年間での変化を丁寧に記述しています。
また、令和6年は、自衛隊発足70周年であるとともに、令和6年版防衛白書は、初版から数えて刊行50回目の節目となるものです。そのため、巻頭に、わが国を取り巻く情勢の変化と、それに対応できるよう歩みを進めてきた防衛省・自衛隊の70年の歴史を防衛白書とともに振り返る特集を設けました。
加えて、本文中のコラムを充実させ、本文の内容を読者がより深く理解できるようにしました。