自民党総裁選 、各派閥議員の推薦を可視化 麻生派は37人が7候補の推薦人に(2024年9月14日『産経新聞』)

岸田文雄首相の総裁任期満了に伴い、過去最多の9人が立候補した自民党総裁選。各候補者はそれぞれ20人の推薦人を集めて〝次期首相〟に名乗りを上げた。その推薦人となった合計180人の議員について、所属の派閥・旧派閥を可視化すると、それぞれの派閥や候補者の特徴が浮かび上がった。

派閥はこれまで自民党総裁選の結果に大きな影響を及ぼしてきたが、政治資金パーティー収入不記載事件を受けて、消滅や弱体化を余儀なくされている。

総裁選に立候補したのは届け出順に、高市早苗経済安全保障担当相(63)、小林鷹之前経済安保担当相(49)、林芳正官房長官(63)、小泉進次郎環境相(43)、上川陽子外相(71)、加藤勝信官房長官(68)、河野太郎デジタル相(61)、石破茂元幹事長(67)、茂木敏充幹事長(68)。候補者数は、立候補制が導入された昭和47年以降、最多だった平成20年と24年の5人を大きく上回った。立候補には20人の推薦人が必要で、推薦人の総数も過去最多となった。

今回の総裁選では、最多の37人の推薦人を出した麻生派が7人の候補に分散。安倍派と二階派の議員も7人の候補を推薦した。ただ、前回の竹下派(茂木派)のように全ての候補を推す派閥はなかった。

それぞれの派閥の特徴は、所属議員が推薦しない候補に表れているともいえる。麻生派は林氏と石破氏、安倍派は河野氏と石破氏、二階派は林氏と茂木氏に推薦人を出していない。

無派閥の議員の推薦行動にも特徴が表れた。令和3(2021)年の前回総裁選では、立候補した全4候補が無派閥から5~8人ずつ推薦を得ていた。今回は無派閥議員から石破氏に15人、小泉氏に14人の推薦人が出た一方、河野氏は無派閥の推薦人がいなかった。

女性議員の推薦人の数は、候補者によって大きく異なる。最多は上川氏の7人。続いて加藤氏5人、小泉氏4人、河野氏3人、高市氏と茂木氏が2人、小林氏1人となっている。林氏と石破氏は女性議員の推薦人がいない。前回の総裁選では、全4候補が複数の女性議員から推薦を受け、決選投票で勝利した岸田文雄首相は最多の6人の女性議員から推薦されていた。

過去最多の9人が立候補したことで、上位2人による決選投票になる公算が大きい。各派閥の議員は決選投票でまとまって行動し、結果に影響を与えるかどうかも注目される。(データアナリスト 西山諒)