各国の閣僚らが今回、演説などで主に取り上げたのは、台湾情勢や東・南シナ海問題だ。
米国のオースティン国防長官は、中国を念頭に「現状をむしばみ、平和と安定を脅かしている」と指摘した。これに対し中国の董軍国防相は「台湾を中国から分裂させようとする者は必ず自滅する」と述べ、米国を 牽制けんせい した。
中国は先月、台湾周辺で大規模な軍事演習を行った。南シナ海では、領有権を争うフィリピンの船に、海警局の船が放水や衝突を繰り返している。地域の緊張を高めているのは、中国の独善的な振る舞いであることは明らかだ。
木原防衛相は、オースティン氏、韓国の申源●国防相と会談し、サイバー、宇宙など新たな領域を含む3か国共同訓練を今夏初めて実施することで合意した。また、日米韓の政策協議や防衛交流を「制度化」することでも一致した。(●はさんずいに是)
日米韓の協力体制は、それぞれ国内の政治情勢に揺さぶられてきた。様々な防衛協力を制度化し、後退を防ぐことは重要だ。
韓国が今なお事実関係を認めないのは問題だが、北朝鮮が挑発を強める中、木原氏としては懸案に区切りをつけ、防衛交流の再開が必要だと判断したのだろう。
各国の要人がそろった場で、ゼレンスキー氏に名指しで批判された意味は重い。対露関係を見直さなければ、中国は国際的な信用を失いかねないと自覚すべきだ。