<東京 むかし、いま、みらい 都知事選2024>
グローバル化が進み、世界情勢が目まぐるしく変わる中、東京の都市の力は世界でどう位置づけられているか。明治期に「極東の小国」に過ぎなかった東京は戦前の都市整備と戦後復興、高度経済成長を経て、世界有数の大都市へと変貌。経済や環境など6分野で評価する「世界の都市総合力ランキング」(森記念財団)は昨年時点で3位だった。ただこの10年で「経済」分野の評価は1位から10位に転落。激しい競争の中で存在感に陰りもみられる。
◆評価開始以来の「トップ4」は守ったけれど…
都庁(右奥)と新宿駅周辺の夜景
ランキングは世界の48都市を対象に「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野計70指標で順位をつけている。2023年のランキングで東京は、ロンドン、ニューヨークに次いで3位。2008年の同ランキング開始以来、維持してきたトップ4の座を守った。
ただ分野別で見ると、特に経済での東京の苦戦が目立つ。指標の一つとなっている「GDP成長率」は48都市中47位、「優秀な人材確保の容易性」は40位、「賃金水準」は29位。経済分野全体でもアジアの北京やシンガポールにも後れを取り、10位となっている。
◆居住・文化での評価は上昇
一方で居住の分野は2013年の20位から3位に上昇。円安によって東京の物価や家賃が海外から見て「安い」と評価された点などが影響した。文化の分野は8位から5位にアップ。買い物や食事の魅力、文化イベント開催数などの指標がそれぞれ1位だった。
森財団都市戦略研究所理事の市川宏雄・明治大名誉教授は「東京は、多数の世界トップ企業など大きなストックがあるのが強み。ただ変化に弱く、特に経済分野で評価を落としている。社会の自由度・平等さも課題だ」と指摘。「所得格差や人口減少社会という現実に向き合いながら、世界のライバルたちの中でどんな都市を目指すのか、東京は重要な転換点を迎えている」と話す。(岡本太)
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