データでみる都知事
東京都の2024年度一般会計当初予算は、8兆4530億円に達し、3年連続で過去最大になった。特別会計などと合わせた予算規模は総額16兆5584億円で、チェコの国家予算(14・5兆円)をしのぐ。圧倒的な財政力を背景に国の地方交付税を47都道府県で唯一受けず、政府との交渉では強気に出られるとも言われる。7日投開票の都知事選で選ばれる知事は、まさに「一国一城の主(あるじ)」だ。
都の財政は豊かな税収に支えられており、都内に本社を置く国内大手企業が支払う法人事業税と法人住民税が大きく貢献している。これらの「法人2税」は今年度、計2兆3016億円を見込む。堅調な企業収益により、前年度から当初予算ベースで927億円(4・2%)増えた。
神奈川、千葉、埼玉の近隣3県の法人2税をみると、最も多い神奈川県でも3514億円にとどまる。3県の知事は5月、東京都と周辺自治体の間で行政サービスの格差が広がっているとして、国に財源の偏りを正すべきだと訴えた。神奈川県の黒岩祐治知事は「(東京と)同じことを実現しようと思うとそれなりの財源が必要だが、財政力の違いが圧倒的。とても太刀打ちできない」と語った。
国は東京と地方の税収格差を是正するため、従来の地方交付税制度に加え、08年度から都市部の財源を地方に振り分ける「偏在是正措置」を始めた。都は「地方税を召し上げる不合理な措置だ」と反発する。理由の一つが、税収の大きなウェートを占める法人2税が、時々の景気に影響されやすいという点だ。08年のリーマン・ショックでは、税収が前年度より約1兆円減る事態に見舞われた。
都が19年に公表した財政収支の長期推計(21~40年度)では、就業者の減少などで都の実質経済成長率が低下して都税収入の伸び率が鈍化する一方、高齢化で福祉費がかさむと見込んだ。経済成長率が年平均0・4%にとどまった場合、40年度には1300億円の赤字に陥るとの試算も示した。