沖縄で米兵による性的暴行事件がまた発覚 専門家「適切な情報共有があれば再発防止策が取られていたはず」【news23】(2024年6月29日『TBS NEWS』)

今年5月、沖縄でアメリカ軍の兵士が女性に性的暴行を加えたとして逮捕・起訴されていたことがわかりました。6月25日には、別のアメリカ兵による性的暴行事件が明らかになったばかりで、沖縄では怒りと不安が広がっています。
■米兵による性的暴行でまた逮捕 沖縄知事「怒り心頭です」
28日午後6時すぎ、アメリカ兵による性的暴行事件を受け、米軍嘉手納基地のゲート前では思い思いの花を手に「性暴力」の根絶を訴える「フラワーデモ」が行われました。
デモの参加者
「子どもたちがレイプされていますから。本当にいたたまれなくて、絶対もうこれ許せんなと」
「軍事基地がなければ起きない犯罪なんですよ。それを沖縄に一方的に押し付けて、子どもたち、女の人、弱い人に犠牲を強いてなんなんですか、この社会は」
高まる沖縄の怒り。
「本当に言葉にならないですね・・・怒り心頭です」
去年12月、沖縄のアメリカ空軍の兵長、ブレノン・ワシントン被告(25)が少女に性的暴行を加えたとして、起訴されていたことが明らかになったばかりですが、再び怒りをあらわにした沖縄の玉城知事。
新たに、今年5月にもアメリカ兵による性的暴行事件が起きていたことが明らかになったのです。
不同意性交等傷害の罪で起訴されたのは、アメリ海兵隊上等兵のジャメル・クレイトン被告(21)。起訴状によると5月26日、本島中部で女性の首を絞めるなどした上で性的暴行を加えようとし、けがをさせたとされています。
クレイトン被告はその場から逃走しましたが、通報を受けた警察がその日のうちに緊急逮捕していました。
■専門家は「情報が共有されていなかったことは大きな問題」
「少女誘拐暴行事件が明るみに出た矢先、このような非人道的で卑劣な犯罪が再び発覚したということは、県民に強い不安を与えるだけではなく、女性の人権や尊厳もないがしろにするものであり、断じて許せるものではない」
相次いで発覚した米兵による性的暴行事件。
去年12月に起きた事件では、今年3月に被告が起訴されていますが、沖縄県には3か月も情報が共有されておらず、その間の5月に新たな事件が起きていたことになります。
沖縄国際大学の前泊教授は、去年12月の事件が県側に正しく伝わっていれば、再発防止策が取られていたはずだと指摘します。
沖縄国際大学 前泊博盛 教授
「(1995年の)少女暴行事件が起こった後の抗議が沖縄県内で起こった時には、(米兵の)事件が激減しているのがわかる。日米両政府がしっかりと隊員教育、あるいは隊員に対する警鐘を鳴らしている場合には、犯罪はかなりの数、抑止されていきます。そういう意味では、隠ぺいをしていたかのようなこの扱い、あるいは情報が共有されていなかったことは大きな問題だと思います」

沖縄 米兵性的暴行 報道後に情報提供 外務省「重く受け止め」(2024年6月29日『NHKニュース』)
 
 
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沖縄県内でアメリカ軍の兵士による性的暴行事件が相次いで発覚し、いずれも県に対して国から情報提供があったのは報道後だったことについて、外務省沖縄事務所の宮川学大使は29日、「県民の不信の念を招いていることを大変重く受け止めている」と述べました。
 
沖縄県内では、6月25日にアメリカ空軍の兵士が少女に性的暴行をしたなどとして起訴されていたことが明らかになったのに続いて、28日は別のアメリ海兵隊上等兵が、女性に性的暴行をしようとしてけがをさせたとして起訴されていたことが明らかになりました。
 
いずれの事件も、県に対して国から情報提供があったのは報道後で、県は外務省などに情報提供のあり方の見直しを求めることを検討しています。
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こうした中、外務省沖縄事務所の宮川大使は29日、自民党沖縄県連を訪れ、アメリカ軍関係者が起こした事件について情報提供を迅速に行うよう求める要請書を受け取りました。
宮川大使は「被害に遭われた方のことを思うと大変心が痛む。事案の発生は極めて遺憾だ」と述べました。
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そのうえで「政府の対応、特に情報の提供のあり方でご不安を抱かせ、厳しい批判をいただいて、県民の皆様に不信の念を招いてしまっていることを大変重く受け止めている。今後の改善策について、外務省としても、捜査機関も含む関係省庁と早急に相談してまいりたい」と述べました。
 

5月にも沖縄で米兵が女性に性的暴行 不同意性交致傷の疑い 20代の海兵隊員を基地外で逮捕 県警は報道発表せず(2024年6月28日『沖縄タイムス』)
 
 沖縄本島中部で5月下旬、女性に性的暴行しようとし、けがをさせたとして、沖縄県警が在沖米海兵隊員の20代の男を不同意性交等致傷の疑いで逮捕していたことが28日、分かった。県内では、米軍嘉手納基地所属の空軍兵長が16歳未満の少女を誘拐し、性的暴行したとして起訴された事件が25日に報道で明らかになったばかり。米兵による新たな性暴力事件の発覚に、県内で抗議の声がさらに高まるのは必至だ。
 
 
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 関係者によると、事件は5月下旬に沖縄本島中部で発生。海兵隊員が女性に性的暴行し、女性は抵抗した際にけがを負った。男は逃走したが、その日のうちに基地の外にいたところを逮捕されたという。
 県警によると、今年1~5月末までに、殺人・強盗・放火・不同意性交等の「凶悪犯」で摘発された米軍人は4人で、件数は5件。うち3人は不同意性交容疑で逮捕・書類送検された。  
 1月には、沖縄本島内の住宅街の路上で、県内に住む女性に性的暴行を加えたとして、米海兵隊員の30代の男が不同意性交等の容疑で逮捕されていた。  
 県警は 1月や5月に起きた逮捕事案について、報道発表していない。米空軍兵が少女を誘拐し、性的暴行したとして起訴された事件では、政府と検察、県警が起訴から3カ月後に報道で表面化するまで県に伝えていなかったことが明らかになっている。