それぞれ支援を受けて選挙戦を繰り広げる小池氏(写真)と蓮舫氏
東京都知事選(7月7日投開票)は22日、「告示後、初の週末」を迎えた。3期目を狙う小池百合子知事(71)や、前参院議員の蓮舫氏(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)、元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)ら、過去最多56人の候補者は、繁華街や住宅地などを精力的に回る。それぞれが独自の公約や実績、人柄などをアピールするが、各陣営の「応援団」「支援組織」の存在も重要だ。1100万人を超える有権者の判断も左右する、有力候補の背景に迫った。
小池氏は過去の知事選で300万票前後を獲得し、圧勝してきた。今回は「政党色を出さない」戦略で、自民、公明両党の都議らが連携するかたちで事実上の支援に回る。連合東京と、国民民主党の都連、地域政党「都民ファーストの会」も支援する。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「小池氏は、自公の選挙に協力し、バーターで都知事選の支援を受けるはずだったが、自民党の裏金問題で計算が狂った。某政党は頻繁に情勢調査をしているが、自民党が『支持』を決めたとたん、小池氏への支持率が下がった。結果的に『ステルス支援』を求め、自民党も受け入れた。自民党都連も『逆風』を肌で感じており、『フル回転の集票は難しい』との見方がある」と分析する。
特に、共産党は「熱烈な支援」を展開している。機関紙「赤旗」は動向を大々的に報じているほか、笑顔の蓮舫氏の写真と政策を紹介するビラも大量配布した。ただ、共産党は党綱領に「自衛隊解消」「日米安保廃棄」を堂々と掲げている。
鈴木氏は「共産党の選挙戦での運動量は抜群だ。『拒否感を凌駕(りょうが)するメリットがある』という計算だろう」と語る。
支援体制も急拡大している。選対には、選挙プランナーとして知られる藤川晋之助氏が入った。大阪市議、東京維新の会事務局長などを歴任し、「選挙の神様」の異名もとる。藤川氏を陣営に招いたのが、大手コーヒーチェーン店「ドトールコーヒー」創業者の鳥羽博道氏だという。
保守層に支持される田母神氏は告示日(20日)朝、英霊が眠る千代田区の靖国神社に参拝して選挙戦をスタートさせた。出陣式には、参政党代表の神谷宗幣参院議員が駆けつけ、「力強い東京にしてくれるのは田母神さんだ」と訴えた。街頭演説には、「デヴィ夫人」ことデヴィ・スカルノさんが参加し、支持を呼びかけた。
鈴木氏は「東京の選挙は本来、幅広い無党派層をいかに取り込むかが勝負だ。だが、今回は、ドロドロとした〝組織戦〟も同時に展開されている」と分析している。