乱立!都知事選はドロドロ組織戦へ 重要な「応援団・支援組織」の中身 小池氏、蓮舫氏、田母神氏…有力候補の背景に迫る(2024年6月24日『夕刊フジ』)

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それぞれ支援を受けて選挙戦を繰り広げる小池氏(写真)と蓮舫
東京都知事選(7月7日投開票)は22日、「告示後、初の週末」を迎えた。3期目を狙う小池百合子知事(71)や、前参院議員の蓮舫氏(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)、元航空幕僚長田母神俊雄氏(75)ら、過去最多56人の候補者は、繁華街や住宅地などを精力的に回る。それぞれが独自の公約や実績、人柄などをアピールするが、各陣営の「応援団」「支援組織」の存在も重要だ。1100万人を超える有権者の判断も左右する、有力候補の背景に迫った。
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八丈島を訪れ、島名産の生地を使ったスカーフを首に巻き有権者と言葉を交わす小池百合子
「今回の都知事選、最初の街頭演説は、明日22日(土)、私にとって思い入れの強い島しょ部、八丈島にて行う予定です。文化や伝統、美しい自然、島しょは東京の宝!」
小池氏は21日、X(旧ツイッター)でこう発信した。八丈島は、小池氏が初当選した2016年の都知事選でも、告示日翌日に訪れている。
「選挙の神様」と言われた田中角栄元首相は「選挙は川上から」を持論としていた。選挙戦序盤は山村や漁村で支持者を盛り上げ、終盤は有権者の多い都市部に攻め上がる「川上作戦」である。
小池氏は過去の知事選で300万票前後を獲得し、圧勝してきた。今回は「政党色を出さない」戦略で、自民、公明両党の都議らが連携するかたちで事実上の支援に回る。連合東京と、国民民主党の都連、地域政党都民ファーストの会」も支援する。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「小池氏は、自公の選挙に協力し、バーターで都知事選の支援を受けるはずだったが、自民党の裏金問題で計算が狂った。某政党は頻繁に情勢調査をしているが、自民党が『支持』を決めたとたん、小池氏への支持率が下がった。結果的に『ステルス支援』を求め、自民党も受け入れた。自民党都連も『逆風』を肌で感じており、『フル回転の集票は難しい』との見方がある」と分析する。
蓮舫共産党熱烈 田母神氏デヴィ夫人支持
一方、蓮舫氏は22日、世田谷区・三軒茶屋駅前や、渋谷区・渋谷駅ハチ公口前で街頭演説を行う。世田谷区の保坂展人区長や、長妻昭政調会長立憲民主党幹部らが応援に駆け付ける。
蓮舫氏は「反自民、非小池」を掲げ、離党した立憲民主党共産党社民党などが全力支援する。国政の対決構図を持ち込む構えだ。
特に、共産党は「熱烈な支援」を展開している。機関紙「赤旗」は動向を大々的に報じているほか、笑顔の蓮舫氏の写真と政策を紹介するビラも大量配布した。ただ、共産党は党綱領に「自衛隊解消」「日米安保廃棄」を堂々と掲げている。
立憲民主党の支持団体、連合の清水秀行事務局長は12日、「まるで共産党の公認候補のようだ。受け入れられない」と共同通信のインタビューに答えた。立憲民主党の一部にも、根強い共産党アレルギーがある。
鈴木氏は「共産党の選挙戦での運動量は抜群だ。『拒否感を凌駕(りょうが)するメリットがある』という計算だろう」と語る。
ネット中心に人気を誇る石丸氏は22日、中央区・水天宮前を振り出しに、江東区富岡八幡宮墨田区スカイツリー前、台東区上野駅前、中央区築地本願寺など、東京の東部13カ所で精力的に街頭演説を行う。
支援体制も急拡大している。選対には、選挙プランナーとして知られる藤川晋之助氏が入った。大阪市議、東京維新の会事務局長などを歴任し、「選挙の神様」の異名もとる。藤川氏を陣営に招いたのが、大手コーヒーチェーン店「ドトールコーヒー」創業者の鳥羽博道氏だという。
数千人規模の選挙ボランティアが集まり、一部の情勢調査では無党派層に支持を広げ、「小池、蓮舫両氏の票を大きく削ることもあり得る」(永田町関係者)という。
保守層に支持される田母神氏は告示日(20日)朝、英霊が眠る千代田区靖国神社に参拝して選挙戦をスタートさせた。出陣式には、参政党代表の神谷宗幣参院議員が駆けつけ、「力強い東京にしてくれるのは田母神さんだ」と訴えた。街頭演説には、「デヴィ夫人」ことデヴィ・スカルノさんが参加し、支持を呼びかけた。
鈴木氏は「東京の選挙は本来、幅広い無党派層をいかに取り込むかが勝負だ。だが、今回は、ドロドロとした〝組織戦〟も同時に展開されている」と分析している。