蓮舫氏「戦いがいがある」小池百合子知事が自民支援で東京都知事選3選出馬なら(2024年6月6日『日刊スポーツ』)

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立憲民主党の代議士会で東京都知事選への出馬表明の報告と支援を呼びかける蓮舫参院議員(撮影・中山知子)
 立憲民主党蓮舫参院議員は6日、国会内で報道陣の取材に応じ、出馬を表明している20日告示の東京都知事選(7月7日投開票)をめぐり、3選出馬すれば戦うことになる現職の小池百合子知事(71)について言及した。
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蓮舫氏「髪逆立ち」パンク風写真
 小池氏が3選出馬する場合、自民党が水面下で支援する見通しといわれることへの受け止めを問われ「水面下でも表でも、今自民党が行っている政治を私は評価できない」と指摘。政治資金規正法改正案をめぐる自民党の迷走を念頭に「問題を起こした政党が『なんちゃって法案』をつくるのが、自民党だと思っている。この政党から表でも裏でも支援を受ける方とは、戦いがいがあると思います」と語った。
 幅白い支援を得るため、近く立民を離党する方針だが、そのタイミングは「党執行部と相談している」という。参院議員は「自動失職」して出馬すると述べ、告示直前まで議員を続ける方針を明かした。
 国政の「政治とカネ」の問題を、都知事選でどう都民に訴えるのかと問われると「政治とカネはそもそも国政の話だが、国政の影響力はすごく大きい。政治が信頼されなくなれば、納税者やクリーンな政治家には残念なこと。ぜひ関心をもっていただきたい」と話した。
 公約については、小池氏の動向を見極めて公表する方針だが、都が現在進める方針に反対論も根強い明治神宮外苑の再開発について、近く現場を視察して住民らの声を聞いた上で、公約に加える意向を示した。
 また、5日に発表された女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」が1・20と過去最低を更新し、東京都では初めて1を割り込み0・99となったことについて受け止めを問われ「衝撃的な数字」とした上で「今の都政は少子化対策に力を入れているが、その効果が発現するのはもう少し後としても、これまでの延長線だけでは対応できない。次元の違う意味での違う視点での政策に、さらに力を入れないといけない」と述べた。
 都知事選には広島県安芸高田市の石丸伸二市長(41)や元航空幕僚長田母神俊雄氏(75)、タレント清水国明(73)ら、すでに30人以上が立候補を表明している。

都知事選「小池氏VS蓮舫氏」は「保守VS左派」の構図 国政にも影響の〝首都決戦〟気がかりな「つばさの党」幹部の出馬表明(2024年6月6日『夕刊フジ』)
 
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都知事選は、小池氏と蓮舫氏(写真)の対決構図となりそうだ
【岩田明子 さくらリポート】
7月7日投開票
東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)の構図が固まってきた。現職の小池百合子知事と、立憲民主党蓮舫参院議員が軸だ。広島県安芸高田市の石丸伸二市長や、元航空幕僚長田母神俊雄氏ら20人以上も立候補を表明しているが、大きな固まりでみるならば、選挙戦は小池氏と蓮舫氏を中心に進んでいくことは間違いない。
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小池氏には先月28日、小池氏が特別顧問を務める地域政党都民ファーストの会」と、公明党が立候補を要請した。小池氏がいまだに都知事選への対応を明らかにしていない背景の1つには、自民党との距離をどうすべきかを探っているという面があるのではないか。
「政治とカネ」の問題で批判にさらされる自民党と連携すれば、小池氏も逆風を受ける。ただ、連携を断れば、自民党支持層が他の候補に分散するリスクもある。公明党が国政では自民党と連立を組んでいる事情もあり、小池氏としては、難解な方程式の解を求めているのだろう。
これに対し、蓮舫氏は5月29日、都議会を訪れ、立憲民主党共産党などの会派に支援を求めた。一方で、都民ファーストの会や自民、公明両党の各会派は訪れなかった。
蓮舫氏は同日、X(旧ツイッター)で、立憲民主党を「離党する方向です」と投稿した。立憲民主党を支援する連合東京は小池氏と良好な関係を築いており、支援を受けるのは難しい。それならば、立憲民主党にとどまっているメリットはなく、むしろ共産党をしっかりと押さえておきたいという思惑があったのではないか。
蓮舫氏が共産党の都議団を訪問した際には、花束を受け取る場面もあった。共産党小池晃書記局長は5月27日、蓮舫氏について「最強、最良の候補者を得ることができた。『反自民』『非小池都政』。旗印は明確だ」と評価した。こうした言動からは、共産党蓮舫氏支援の前面に出てきているという印象を受ける。
小池、蓮舫両氏に対する各党の動きからすると、今回の都知事選は大きくみて、「保守VS左派」という構図になるのではないか。
保守層の一部からは小池氏を忌避する意見もみられるが、基本的には保守的な考えを持っている。
 
2017年10月、当時希望の党代表だった小池氏は、衆院選に向けた党首討論会で、憲法改正について「世界では当たり前のことだ」と断言し、安全保障や憲法をめぐる自民党との違いを問われて、「私は安倍(晋三)政権の下、防衛相に任命していただいた。そういった点で違いはない」と言い切った。
「首都決戦」である都知事選は、単なる一自治体の選挙ではない。国政にも大きな影響を与える。その意味で、各候補がどのような国家ビジョン、安全保障政策を持っているのかにも注目すべきだ。
選挙戦に向けて一つ心配なのは、4月の衆院東京15区補選をめぐる選挙妨害事件で、警視庁捜査2課に逮捕された政治団体「つばさの党」の幹部らが、都知事選への出馬を表明していることだ。民主主義の根幹である選挙を守るため、警察の徹底した取り締まりとともに、「選挙妨害行為は良しとしない」という都民の良識を期待したい。
 
■岩田明子(いわた・あきこ) ジャーナリスト・千葉大学客員教授中京大学客員教授。千葉県出身。東大法学部を卒業後、1996年にNHKに入局。岡山放送局で事件担当。2000年から報道局政治部記者を経て解説主幹。永田町や霞が関、国際会議、首脳会談を20年以上取材。昨年7月にNHKを早期退職し、テレビやラジオでニュース解説などを担当する。月刊誌などへの寄稿も多い。著書に『安倍晋三実録』(文芸春秋)。