二階派元会計責任者「いつ何があるかわからず、お金を残しておこうと」…パーティー収入不記載初公判(2024年6月19日『読売新聞』)

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 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)に問われた「志帥(しすい)会」(二階派)の永井等・元会計責任者(70)の初公判が19日、東京地裁(向井香津子裁判長)であり、永井被告は起訴事実をすべて認めた。永井被告は被告人質問で、「いつ何があるかわからず、派閥にお金を残しておくべきだと考えた」と虚偽記入の動機を述べた。
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(写真:読売新聞)
 二階派では、パーティー券の販売ノルマを所属議員に割り当て、ノルマ超過分の収入は、派閥から議員側にキックバック(還流)したり、議員側がプールしたりしていた。起訴状では、永井被告は2018~22年、ノルマ超過分の派閥の収入約2億6400万円と、派閥から議員側に寄付したノルマ超過分の支出約1億1600万円を、それぞれ政治資金収支報告書に記載しなかったとしている。
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検察官の起訴状朗読を聞く永井被告(左端)=イラスト・構成 秋山史朗
 検察側は冒頭陳述で、永井被告が、派閥のパーティー収入が多額だと明らかになればパーティー券の買い控えが生じるかもしれないと考え、収入が過少になるようノルマ超過分を記載しなかったと指摘。収支報告書の作成は永井被告ら事務局職員が行い、派閥幹部の国会議員には口頭で概要を説明するだけだったと述べた。
 被告人質問で、虚偽記入の理由を問われた永井被告は「弱小派閥で与野党逆転もあり、事務所の維持が困難を極める経験もした。何かしら金を蓄える必要があると考えた」と説明。自身を経理に詳しくないと評し、収支報告書の記載について「大体このような感じでいいだろうという気持ちもあった」と語った。
 弁護側から政治家から指示があったかどうか聞かれると、「一度もない」と強く否定。「すべて一任されており、自分で判断した」と述べた。
 一方、数年前に派閥の事務局職員から正しい金額を記載するよう訴えられたことも明かした。修正の方法がわからずに放置し、派閥に金銭を残したいとの気持ちもあって虚偽記入を続けたという。
 事件を受け、二階派は解散を決めた。永井被告は「先生(議員)がいかに気持ち良く働けるかに注力していたが、大きな問題になったことは私の不徳の致すところだ」と肩を落とした。
 一連の事件では、二階派、「清和政策研究会」(安倍派)、「宏池会」(岸田派)の会計責任者や元会計責任者ら計10人が立件された。公判が開かれたのは、安倍派の会計責任者に続き2人目。