上條恒彦84歳、11年ぶりレコーディング 25年春公開映画「シンペイ~歌こそすべて~」エンディングに流れる名曲「ゴンドラの唄」(2024年6月2日『サンケイスポーツ』)

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ユーモアを交えながらレコーディングや今後の仕事などについて語った上條=東京都内
TBS系「3年B組金八先生」シリーズなどで知られる歌手で俳優、上條恒彦(84)が2025年春公開の映画「シンペイ~歌こそすべて~」(神山征二郎監督)のエンディング曲を担当することが1日、分かった。楽曲は、主演の歌舞伎俳優、中村橋之助(28)扮する大正~昭和初期に活躍した名作曲家、中山晋平の「ゴンドラの唄」。今回は約11年ぶりにレコーディングを行い、サンケイスポーツの取材に手応えなどを明かした。
2013年のアルバムリリース以来となるレコーディングを終えた上條。「手応えったってね、やっぱり難しいですなぁ…歌は。お客さまに思いをお届けするという意味で」と振り返った。
俳優業では「金八先生」の社会科・服部先生役や舞台「ラ・マンチャの男」などで知られ、1962年から開始した歌手活動はキャリア62年。豊かな声量と幅広い表現力が魅力で、71年の「出発の歌-失なわれた時を求めて-」などがヒット。72、73年のNHK紅白歌合戦に出場した。
今回の楽曲は童謡「シャボン玉」などで知られる中山晋平の作品で、15(大正4)年発表の「ゴンドラの唄」。中山の生涯を描く「シンペイ―」のエンディング曲に起用される。
同曲は「いのち短し 恋せよ乙女」などの歌詞が印象的。森繁久彌さんや美空ひばりさんらが歌い継いできた名曲で、上條は「日本が古くから持っている財産」とリスペクトする。レコーディングは情緒豊かな歌唱で一発OKも「自分は歌うたいだし、満足でこれでいいやと思ったことがなくて」と計3度行った。
今回は中山と同じ長野県出身の縁などから起用が決定。上條は38年にわたり同県の八ケ岳山麓で野菜を栽培して生活し、「ニンニクの収穫が楽しみ」と明かす一方、舞台出演は継続中。6月27日から東京で主演舞台「六月の雨~梅雨は嫌いですか?~」が開幕する。
体調は「足や腰が痛いとかはあるけど、ほっとけば死んじゃうというほどではない」とユーモラスに良好を報告。今後については「どっちにしたって食べていかなきゃいけないんだからね、生きていくってことは。歌や芝居はいくらやっても分からないからこそ、自分で幕を下ろす気持ちにはなれない」。失うことのない向上心で生涯現役を約束した。(山内倫貴)
■上條 恒彦(かみじょう・つねひこ)
1940(昭和15)年3月7日生まれ、84歳。長野県出身。72年の楽曲「だれかが風の中で」がフジテレビ系「木枯し紋次郎」の主題歌に起用されてヒット。映画は「男はつらいよ」シリーズ、舞台は「マイ・フェア・レディ」「屋根の上のヴァイオリン弾き」などで活躍。声優では2001年の「千と千尋の神隠し」などに出演。他に14年のNHK大河ドラマ軍師官兵衛」、19~20年のテレビ朝日系「やすらぎの刻~道」に出演。