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本日は航空政策および飛行機の遅延についての考え方を述べたいと思います。
2024-03-21 12:16:20

テーマ:ブログ


本日は航空政策および飛行機の遅延についての考え方を述べたいと思います。
私は、航空会社の対応について、機内で発言をする際、三つの原則に従います。
一つ目は「正確な情報を伝えているか」、二つ目は「不都合な情報をしっかりと開示しているか」、三つ目は、「正しい見立てを立てた情報発信となっているか」の三点です。
まず「正確な情報を発信しているか」についてです。あるとき搭乗した飛行機の出発が大幅に遅れていました。出発時間をとうに過ぎてから「管制の指示によって出発許可を待っているため遅れが生じている」との機内アナウンスが入りましたが、外を見て驚きました。まだ航空会社は機内への貨物の搬入作業の途中であり、相当な貨物が残っている状況でした。遅延の原因は管制の指示ではなく、また、出発許可以前の話であり、航空事業者の準備が遅れているために、出発が遅れている状況が一目瞭然でした。これを航空当局の責任にすりかえ、そしてそれを情報として流すことは許されるものではありません。そのことについてその場で発言をさせていただきました。
二つ目の「不都合な情報を開示しているかどうか」についてです。ある日、大幅な出発遅延がありました。機内で出発を待っているときにアナウンスがかかり、「出発準備に時間が生じている」とのことでありましたが実態は違いました。搭乗手続きのミスで、搭乗券と機内の搭乗者数に大幅な差異が生まれ、その確認業務に多くの時間を要しておりました。本来ならば、テロあるいは不審者侵入防止の観点から、このミスは由々しき問題であります。しかし、その状況は伏せられ、機内では「搭乗、出発準備に時間を要している」とのアナウンスだけでありました。すべてを開示できないまでも、搭乗名簿と搭乗者数が異なった状況であり、本来ならばその確認に時間がかかっていることが航空会社の開示するべき情報であり、その場で発言をさせていただきました。
三つ目の「正しい見立てを立てるかどうか」です。出発が大幅に遅れ、そのアナウンスが入りました。「10分ほど遅延をする」とのことで、乗客の方お一人が、突如飛行機を降りることとなったことが原因でありました。しかし、その方の荷物を貨物室から取り出し、そしてさらには離陸許可を得るには50分以上の時間がかかるはずです。実際は60分近くの遅延となりました。本来、地上業務と客室と貨物室とが十分な連絡をとっていれば、1時間近く遅延が見込まれる時間を乗客に伝えることができたはずであります。正しい見立てを伝えて頂ければ、携帯電話が使用できる段階で乗客の皆さんも到着後の予定変更など対応出来たのではないかと思います。その場で発言をさせていただきました。
私は、客室乗務員の皆様は、乗客の方々の命と安全を守る責任者だと考えます。だからこそ、地上業務からの情報と操縦室からの情報、貨物室からの情報をしっかり共有され、総合的な状況を的確に客室乗務員の方からお伝え頂くことが安心安全につながるのではないかと考えます。お正月にあった悲しい事故も、客室乗務員の方々の的確な全体情報の把握によって乗客の皆さんの命が救われました。だからこそ客室乗務員の方々による正しい情報集約ということは必要であり、正しい見立てをお伝えいただくことは大きな使命だと考えます。
ただし、航空会社の努力ではどうしようもならない遅延もあります。雪などの空港閉鎖です。
今から2年前に約7時間、新千歳空港に閉じ込められたことがありました。閉鎖された新千歳空港の中で、空港全体が見える三階の食堂の廊下に移動して、3時間ほど空港をじっくり観察しました。外では、大雪の中で機体が除雪され(ディアイシング)、滑走路の除雪が行われていました。両方の作業が終わり、出発を進めている中、滑走路につながる誘導路の除雪体制がまったく整っていないために、誘導路から滑走路に出ていくのに大幅な時間がかかり、その合間に機体に雪はもう一度付着し、離陸不可能となり、出発スポットに戻ってきたことも観察できました。誘導路の除雪体制について翌日すぐに国交省にお願いし、体制を整えていただいた次第です。また、民間航空機の滑走路を除雪作業している間、自衛隊滑走路が全く使われていないことにも気がつきました。当時、国交省の空港責任者と自衛隊側の協議がなされておらず、民間機の滑走路使用が出来ない状況となっていたため、即日協議会をつくり、今では、民間機の滑走路の除雪作業中および閉鎖中は自衛隊の滑走路が使える状況となっています。
私自身も、航空行政に関わる以上、民間の事業者の皆さんの努力にあわせて、空港側、行政側の努力も最大限求めて行くことに変わりはありません。

最後に、昨年秋にお会いした記憶に残る客室乗務員の方のご対応について、申し上げます。
東京を出て、ある地方空港に着陸する直前から、空港周辺は暴風雨に見舞われ、着陸直前の飛行機が横揺れし、飛行機は一度後輪をついてすぐに再離陸しました。いわゆるタッチアンドゴーです。非常に揺れる機内の中で、乗客の方々も大変不安に感じておりましたが、すぐに客室乗務員のチーフの方から、大変落ち着いた安心する声で「揺れはありますが機内に影響はないのでご安心ください」とアナウンスがありました。その直後にチーフの方が業務連絡用の受話器を取り、操縦室と連絡をとり、張りのある声で、おそらく機長に対して、すぐに飛行状況と着陸に関する見立てを乗客の皆さんにお伝えしてくださいと迫力ある形でお伝えをされておりました。間髪入れずに機長から、周辺の天候状況ならびに再度着陸にチャレンジして場合によっては東京に戻る可能性がある旨アナウンスが入りました。無事着陸した際に客室乗務員の方には御礼を申し上げたところであります。まさに客室乗務員の方が乗客の安全の責任者となり、安心と安全を確保して頂いた瞬間でありました。
今後も原則に基づいて航空行政について発言して参りたいと考えます。