大きな事故の前には小さな予兆があると言われる。日本航空は組織の緩みを排し、安全確保のための基本動作を改めて徹底せねばならない。
国交省はこれと併せて行政指導にあたる厳重注意も行った。
それにもかかわらず、5月にも福岡空港で機体が停止線を越えるトラブルが発生した。米国出発便に搭乗前の機長が酒に深酔いして欠航となる事案も起きている。
いずれもけが人こそ出なかったが、トラブルはパイロットが管制官の指示を十分に確認しないなど、基本動作に関わる内容だった。機長の深酒も含めて、乗客の命を預かっているという緊張感を欠いていたと言わざるを得ない。
航空機同士が衝突・炎上するという衝撃的な事故を忘れたかのようだ。ミスが相次ぐ背景に組織の緩みがあるのではないか。日航は原因を検証し、再発防止に何が必要なのか検討する必要がある。
滑走路への誤進入が起きた場合には、それを知らせる警報装置を充実させるなど、人的なミスを補う機器の導入も進めるべきだ。
昨年以来、コロナ禍で落ち込んだ訪日外国人の数が回復し、航空需要は急速に高まっている。