愛子さまを“姉妹”のようにフォローした佳子さま、国民も期待する内親王たちの“成長”(2024年5月20日『週刊女性PRIME』)

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3月4日、第55回『なるほど展』を鑑賞された佳子さま。島津家との会合にもご出席
 天皇、皇后両陛下主催の春の園遊会が4月23日、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれ、俳優の北大路欣也さんや能登半島地震に見舞われた石川県の善田善彦県議会議長など各界の功労者ら約1400人が出席した。「令和」になって初めてマスクの着用が求められず、サンドイッチなどの軽食や、酒類を除く飲料も提供された。
佳子さま、愛子さまのお召し物
 秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまや今回、初めて園遊会に参加した両陛下の長女、愛子さまたちが招待者に声をかけ、歓談した。この日の佳子さまは、白い帽子にオレンジ色のワンピースという装い。愛子さまは淡いピンクの帽子と同じ色のお召し物だった。
 天皇、皇后両陛下に続いて秋篠宮さまと紀子さま、その後ろに愛子さま、そして、佳子さまの順番で会場を回り、招待者たちと和やかに会話を楽しんだ。報道によると、陛下は北大路さんに「長年にわたり、芸術に尽力されておられますね」と、ねぎらいの言葉を述べ、石川の善田県議会議長が、「2度も能登にお越しいただきまして、本当にありがとうございました。被災地を回って励ましていただきまして、本当に感謝申し上げます」と述べると、天皇陛下は「大変な被害ですよね。復興が順調に進みますことを心から願っております」と、言葉をかけた。
 佳子さまが初めて園遊会に参加したのは、2023年5月11日の春の園遊会だった。毎年、春と秋に2回、開かれているが、コロナウイルス感染拡大などの影響で2018年秋の園遊会を最後に実施されておらず、実に4年半ぶりの開催となった。「令和」最初の園遊会には約1000人が参加。振り袖にマスク姿の佳子さまは時折、強い雨が降る中、傘をさして招待者たちと歓談した。
雅子さま園遊会初参加の日
 愛子さまの母、雅子さまは1993年6月9日に結婚し、その年の10月15日に開かれた秋の園遊会に初めて参加した。政府関係者や各界の功労者など約1800人が出席した。当時、皇太子妃の雅子さまは同年8月の世界陸上ラソンで日本女子陸上界初の金メダリストとなった浅利純子さんに、「(世界陸上を)皇太子さまと夕食をとりながらテレビで見ていました」と、話しかけたという。
 翌'94年2月9日、結婚からちょうど8か月が過ぎた日に、皇太子ご夫妻(当時)の記者会見が行われた。記者から「皇室に入られて一番、苦労されたことはどんなことでしょうか」と、尋ねられた雅子さまは次のように答えた。
「難しゅうございますね。たぶん、やはりこれまでの自分の人生の中でなかったような場面というのがいろいろございまして、といいますのは、例えば、常に人に、大勢の人に見ていられるというような状況は今まで経験したことはございませんでしたので、そういったことで少し最初のうち驚きを感じたりしました」
 '93年12月9日、30歳の誕生日を迎えた雅子さまは文書で次のように綴っている。
《ちょうど結婚半年を迎えますが、この間、多くの新しいことを学び、経験する機会に恵まれ、あっという間に半年が過ぎたように感じますと同時に、6月9日の結婚の諸行事からまだ6か月しか経っていないことが不思議にも思えます。この半年間、特にはじめの2、3か月は無我夢中で日々を過ごしてきたような気がいたします》
 当時、私は毎日新聞社会部記者で宮内庁を担当していた。前述した記者会見にも出席していたし、30歳の誕生日の文書回答もリアルタイムで読んだ記憶がある。常に大勢の人から見られているという経験はこれまでの雅子さまの人生にはなかったであろうし、結婚後、数か月間は無我夢中で過ごしてきたという述懐もまさにそのとおりであろうと、会見で雅子さまの発言を直接、聞いたり、文書を読んだときにそう思った。
 喜びや感謝の言葉だけではなく、驚きや戸惑い、不安や心配……。こういったネガティブな感情まで包み隠さず、素直に私たち記者に伝えてくれたことに、私は感謝すると同時に、そんな雅子さまにとても好感を持った。こうした素直さや正直さが、繰り返し、記者会見や文書などを通じて広く、国民に向けて伝わっていれば、その後の皇室と国民との関係は、今とはまた違ったものになっていたかもしれない。
 しかし、適応障害と診断され、今でも《御快復の途上にあり、依然として御体調には波がおありです》('23年12月9日、医師団見解)という雅子さまにとって、それは難しいことなのだろう。
期待されていた皇位を継承する男の子の誕生
 以前にも触れたが、'69年4月18日、秋篠宮さまの妹である黒田清子さんが誕生してから、'91年10月23日、秋篠宮ご夫妻の長女、小室眞子さんまで7人連続して女性皇族が生まれていた。それだけに、皇后雅子さまが結婚した直後から、皇位を継承する男の子の誕生が国民の間で強く期待されていた。
 '94年2月9日の記者会見で記者から「ご懐妊の期待というのはかなり高まっていると思うのでございますが、逆にご本人として、それに対してプレッシャーみたいなものはお感じになることはございますでしょうか」と、質問された雅子さまは、「どうでしょう。特にそういうこともございませんけれども、物事はなるようになるのではないかという感じです」と答えている。しかし、男子を産むという大きなストレスを抱えていたことは、その後の雅子さまの歩みを振り返れば容易に理解できるであろう。
 この連載で、佳子さまは愛子さまが小さいころからよく面倒を見ていて、2人はとても仲が良いと紹介した。'07年11月の秋篠宮さまの誕生日会見で秋篠宮さまは、「こちらの家のほうに皇太子同妃両殿下と愛子内親王とが遊びに来られて、何て言いましょうか、年齢的にどちらかというと近い2番目の娘が特にそうなんですけれども、愛子内親王と遊んだりそういう触れ合う機会を楽しみにしているんですね」と、話したことがある。
 今回の園遊会でも佳子さまが、初参加で緊張ぎみの愛子さまを気遣うように、何度もやさしく声をかけるなど、姉妹のように仲睦まじい様子がニュースなどで伝えられた。佳子さまと愛子さまの活躍は、国民をホッと和ませる。今年、2人の内親王のさらなる成長が楽しみだ。
 
<文/江森敬治>
えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など