自民党は、政治資金規正法改正に向けた党の独自案に、政治資金収支報告書への悪質な不記載があった場合に不記載額を国庫に納付させる規定を盛り込む方向で調整に入った。国会議員の罰則強化を巡っては、議員が罰金刑の対象となる要件を拡大して厳格化し、自身の政治団体の会計責任者に対する監督責任をより厳しく問う内容とする方向で検討している。
複数の党幹部が明らかにした。自民は22日にも党政治刷新本部の作業部会を開いて議論を進め、党内の意見を集約した上で週内に取りまとめる方針だ。
国庫に納付させる範囲は、会計責任者や議員らが刑事罰を受けた場合の額とする案が出ている。一連の同法違反事件では、関連政治団体で約3500万円の不記載が発覚した二階俊博・元幹事長の秘書の有罪が確定しており、こうした事案が対象となる見込みだ。党内には「刑事罰に至るケースだけでなく、悪質性の高い不記載は対象とするべきだ」との声もある。
不記載のあった政治資金を「没収」する規定には、「裏金で私腹を肥やしている」との批判をかわす狙いがある。現行法では、政治資金を国庫に納めた場合、公職選挙法の規定に抵触する可能性も指摘されている。党は公職選挙法との整合性を含め、詳細な制度設計を進める。
政治資金規正法では、罰金刑が確定すると、議員は公民権が停止されて失職する。罰金刑となる要件は、現行法では会計責任者の「選任」「監督」の両方で相当の注意を怠った場合とされており、立証が難しいとの指摘がある。自民案では、「選任または監督」を要件としている公明党案と同じ方向性とすることを想定しており、詳しい文言は今後詰める。
このほか、自民の改正案には、収支報告書への第三者監査の強化や、収支報告書のオンライン提出などデジタル化による透明性向上なども盛り込まれる。