◆派閥幹部や議員ら80人超、いまだ処分なし
裏金事件では、政治資金規正法違反罪で逮捕・起訴された衆院議員池田佳隆被告ら安倍派議員3人とその秘書、安倍、二階、岸田3派閥の各会計責任者らが立件された。3派閥の幹部や不記載があった議員ら80人超は刑事責任を免れ、自民はいまだに処分もしていない。
「(責任転嫁で)『秘書が』とか『派閥事務局が』と言うことを防ぐために、連座制を導入すると明言してください」。立憲民主党の辻元清美氏が今月4日の参院予算委員会でこう迫ったが、岸田文雄首相は「会計責任者のみならず政治家自身の責任も明確化、厳格化する取り組みを進めていきたい」と述べただけで連座制とは明言せず、具体論には踏み込まなかった。
連座制は公職選挙法の制度。出納責任者などが選挙違反で有罪になると、候補者本人の関与がなくても当選無効となる。規正法にも、虚偽記入などをした会計責任者の「選任及び監督」で、相当の注意を怠った政治団体の代表者には罰金を科し、公民権を原則5年間停止する連座制のようなルールがある。
だが、これが適用されるには2つのハードルがある。1つは政治資金収支報告書上、派閥を含む政治団体の代表者に関する規定がないこと。実際、代表が議員ではなく、秘書らになっている団体も多い。2つ目は選任と監督の双方でミスがなければ責任を問えず、立証が極めて困難な点だ。
◆自民は課題を挙げるばかりで議論進まず
立民は国会議員関係団体の代表を「議員」に義務付けるよう提案。立民と公明党は「選任及び監督」の要件を「選任または監督」とし、どちらか一方でも注意義務違反があれば、議員の責任を問える改革案を主張する。
自民は連座制に後ろ向きだ。首相は「整理すべき課題」として
(1)対象とする政治団体の範囲や違反の種類をどうするか
(2)違反に直接関わっていなくても失職の罰則を科す理由をどう定義するか
(3)おとりなどによる制度の悪用防止
を列挙。党内でも罰則強化や再発防止の議論は進んでいない。
(1)対象とする政治団体の範囲や違反の種類をどうするか
(2)違反に直接関わっていなくても失職の罰則を科す理由をどう定義するか
(3)おとりなどによる制度の悪用防止
を列挙。党内でも罰則強化や再発防止の議論は進んでいない。
国会では今後、規正法改正に向けた与野党協議で、連座制導入を視野に本格議論が始まる。野党議員は「1万円の不記載でも連座の対象にするのか線引きは必要だ」と指摘。自民秘書は「選挙に通った議員を失職させるのだから乱暴な議論は避けるべきだ」と丁寧な制度設計を求める。
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