「誤った発信撤回を」 仲村氏、国連での活動報告 沖縄先住民族(2024年4月21日『八重山日報』)

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国連で行ったスピーチやサイドイベントについて報告する仲村氏(右)と砂川氏=18日、県庁
 
 2008年から6度にわたり、国連が日本政府に「琉球・沖縄の人々を先住民族と認め、権利を守るよう」勧告していることを撤回させようと、国連があるスイス・ジュネーブを訪れ、スピーチやサイドイベントを行った日本沖縄政策研究フォーラムの仲村覚理事長らは18日、県庁で報告を行った。
 仲村氏らは3月20日、国連人権理事会でスピーチした。仲村氏は「県議会や沖縄社会で先住民族と宣言されたことは一度もないし、議論されたこともない。国連は特定のグループによって意図的に操作された分離主義的な報告に基づいて勧告を出すべきではない」と発言した。スピーチ後には「沖縄の先住民族勧告問題」というテーマでサイドイベントも開いた。
 仲村氏は「国連の委員は沖縄の人たちを先住民族だと誤解している。その誤解を解かなければならない」と強調。先住民族勧告が存在していることで、辺野古移設問題や沖縄県の地域外交などの「沖縄の政治問題の意味合いが違ってくる」と指摘した。
 サイドイベントに参加した砂川竜一氏は「1972年に沖縄が日本に復帰した時に県民は独立させろとは言わずに祖国復帰を選んだ。なのに、なぜ今ごろ琉球国として独立する話が出るのか。国連勧告は世界中に間違ったメッセージを発信してしまう」と訴えた。
 


国連各委員会の沖縄県民を先住民族と認めて保護するべきとの勧告の撤回を求める意見書
 
2008年に国連の自由権規約委員会で、琉球・沖縄の人々を先住民族と認めて、その権利を保護するべきという勧告が出て以来、日本政府は日本には先住民族アイヌ以外存在しないと否定し続けているが、2014年までにさらに3回も同様の趣旨の勧告が出された。その後、沖縄県出身者も、ジュネーブの人権理事会や人種差別撤廃委員会に何度も足を運び、勧告の撤回を要請したが、2018年8月に5回目の勧告が出された。
沖縄に生まれた全ての沖縄県人は、日本人として生まれ、日本語で会話をし、日本語で勉強し、日本語で仕事をしており、みずから先住民族だと認識している人はほぼ皆無である。それにもかかわらず、国連はその後も勧告を出し続けている。つまり、国連の目には、みずからを日本人だと訴える沖縄県人は、日本政府の同化政策により、アイデンティティーを失い、みずからを日本人だと勘違いしているかわいそうな琉球人と映ったということだ。もはや、沖縄で報道されている全ての米軍基地問題は、国連にとっては、単なる基地問題ではなく、国際的少数民族の人種差別問題だと認識されているのだ。
これを放置しておくと、この危険な誤解はさらに国際発信され続け、浸透し、従軍慰安婦プロパガンダ同様、誤解を解くことが不可能になっていくことは、火を見るより明らかである。さらには、国連が認めている先住民族の土地の権利を根拠に自衛隊や米軍基地の撤去を求める声が上がったり、中国が琉球の独立を支援するという大義を根拠に沖縄に軍隊を派遣したり、また、海外の沖縄県人が日本人学校に通えなくなるなど不要な紛争、差別を招くことになってしまう。
このような危険な勧告は沖縄の人々が国連に働きかけて出されたわけではない。実際、沖縄の地方議会では、先住民族について一度も議論されたこともなく、日本政府に先住民族として認めてくれと要請したこともない。また、全くマスコミでは報道されないので、多くの県民はその危険性どころか存在すら知らない状況なのだ。それは、沖縄県民が何ひとつ関与していないところで、東京を拠点に活動している反差別国際運動や市民外交センターなどのNGOが、国連に訴えたり、数年前から故翁長前知事や参議院議員糸数慶子氏など沖縄の政治家が国連で発言するよう手配することによって起こされた問題だからだ。そうであるなら、これは、沖縄県だけの問題ではなく、日本国全体の問題だと捉えなければならない。
沖縄県先の大戦で、米軍の猛攻撃に対して、47都道府県の若者が日本民族の存亡をかけて戦って骨を埋めたゆかりの地である。彼らは決して琉球人という日本が侵略した先住民族の土地を守るため犬死にしたのではない。また、米軍統治下におかれた沖縄県の先人が選びとった道は、米軍への服従でも、琉球国独立でもなく、我が祖国日本への復帰であった。今の日本は、過去の先人が幾多の困難を乗り越えて日本人としての絆を守り抜いたからこそあるのだ。私たちの祖国日本が永遠に繁栄するためには、このような誤った国連勧告は撤回させ、日本国民の絆を守らなければならない。
よって、本市議会は、国に対し、早急に沖縄の人々は先住民族だという国連各委員会の誤った認識を正し、勧告を撤回させるよう強く求めるとともに、国連が発信した沖縄の人々が先住民族だという誤った認識が、これ以上国際社会に広まらないように、速やかに正しい沖縄の情報を多言語で発信することを強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年9月30日
内 閣 総 理 大 臣
総 務 大 臣 殿
外 務 大 臣
内 閣 官 房 長 官
 
座間市議会議長 上 沢 本 尚 
 


琉球先住民の権利保障を」国連委員会が再び勧告、ヘイト対策も (2022年11月5日『琉球新報』)
 
 【東京】国連の自由権規約委員会(B規約人権委員会)は3日、日本の人権状況に関する報告書を公表し、沖縄の人々を先住民族と位置付けて権利を保障するよう勧告した。ヘイトスピーチへの対策なども求めた。
 自由権規約委員会の報告書は「(政府は)琉球先住民族のコミュニティーやその権利を認めず、沖縄の人々が自由で十分な事前の情報に基づいて自身に影響を与える政策に参加できる状況をつくっていない」と懸念を示した。また「抗議やデモに対する過剰な制約や、沖縄で抗議行動をする人たちの不当逮捕があるという報告を受け、懸念している」とも記した。
 ヘイトスピーチについて「中国人、(被差別)部落民琉球人、特に韓国人や在日コリアン」を対象とするオンライン、オフライン両方での広範な人種差別的言説が続いていることに懸念を示した。ヘイトスピーチを明確に犯罪とすることなどを求めている。
 自由権規約委員会は10月に会議を開き、日本の人権状況について話し合った。会議には、米兵による性暴力被害に遭ったオーストラリア人のキャサリン・ジェーン・フィッシャー氏も出席し、繰り返される米軍関連の事件について報告した。委員会の報告書は、性犯罪を含む女性への暴力を根絶する努力を日本政府に求めた。
 国連人種差別撤廃委員会は2018年、日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告していた。
(明真南斗)