本屋大賞 映画やドラマに影響力大きい賞として注目
ことしで21回目となる「本屋大賞」は、全国の書店員が「いちばん売りたい本」を投票によって選ぶ賞で、過去に受賞した作品の多くがベストセラーとなり、映画やテレビドラマにもなるなど影響力の大きい賞として注目されています。
「成瀬は天下を取りにいく」どんな作品?
作者の宮島未奈さん「コロナ禍に小説家人生がスタート」
主人公「成瀬あかり」の自宅最寄り駅では
小説の主人公、「成瀬あかり」の自宅の最寄り駅として小説に登場する大津市のJR膳所駅には、4月1日からびわ湖大津観光協会がPR看板を設置しています。
看板には「成瀬あかり」やびわ湖を巡る観光船「ミシガン」のイラストとともに、小説に登場する「膳所から世界へ」というセリフをもじった「世界から膳所へ」という観光客を呼び込むことばが書かれています。
10日は「本屋大賞」発表の1時間ほど前から観光協会の職員や地元のファン数人が駅に集まり、受賞の知らせが入ると歓声をあげて喜んでいました。
そして、関係者が「祝本屋大賞受賞」と書かれた花飾りの装飾を看板に取りつけました。
30代の女性ファンは「うれしいです。小説で地元の住民が誇りを持てるような魅力を取り上げてもらい、希望の光をもらえました」と話していました。
小説の舞台となった書店では
小説の舞台の一つ「西武大津店」の跡地近くの商業施設に入る書店では、「成瀬は天下を取りにいく」が出版された去年3月から特設コーナーを設けています。
10日は午後2時すぎに受賞が発表されると、さっそく店員が「本屋大賞受賞」の帯がまかれた本を並べていました。
この書店によりますと「成瀬は天下を取りにいく」はことし1月までに小説としては異例の売れ行きとなるおよそ1000冊が売れています。
今回の受賞によって買い求める人が増えることを見込んで、新たに600冊あまりを入荷したということです。
また、宮島さんを招きサイン会を開いたこともあり、店内には宮島さんのサインが入った主人公のパネルや「西武大津店閉店のショックから立ち直れていない皆さん!私もです!」と書かれた直筆の色紙が飾られています。
書店員 八原敦子さん
「地元の書店としてずっと作品を応援してきたのでうれしいです。宮島さんはユーモアのある方で、サイン会では一部の本に『当たり』と書き込んでいました。滋賀県への愛にあふれる主人公が登場するので、ぜひ多くの人に読んでほしいです」
大津市は大盛り上がり
作品の舞台となった大津市では、すでに大きな盛り上がりをみせています。
滋賀県などは今月から、大津市内の店や駅など作品にゆかりのスポットを巡るとデジタル地域通貨の「ビワコ」がたまるデジタルスタンプラリーを始めました。
13か所すべてをまわると、記念のクリアファイルがもらえます。
参加した親子連れは「作品の中に地元のことがたくさん出ていて、まちを歩くと主人公の成瀬がいそうな感じがしてきました」と話していました。
また、受賞作の続編で成瀬のアルバイト先のモデルとなった店では、お客様の声ならぬ、「読者の声」として本の感想などを店内に掲示する取り組みを行っています。
平和堂営業企画部の橘淳子さんは「成瀬が大津や滋賀を盛り上げてくれることを期待しています」と話していました。