入学シーズン 子どもの安全を守りたい(2024年4月9日『新潟日報』-「社説」)


 入学式や新学期を迎え、多くの子どもが希望に胸を膨らませている。学校で友人と楽しい時間を過ごしてほしい。

 交通事故、いじめといった悲しい事態に遭わないように、子どもの安全と安心を、学校をはじめ地域ぐるみで守りたい。

 県内全649小中学校の入学式がピークを迎えた。新小学1年生が不慣れな道で登下校を始める季節だ。交通事故を心配する保護者は多いだろう。

 県内で2019~23年の5年間に歩行中に交通事故に遭い、死亡したり重傷を負ったりした小学生以下は46人に上った。うち3割以上は「飛び出し」が原因だった。

 子どもは背が低いため体が隠れて運転手から見えづらく、視野が大人と比べて狭いことから事故に遭いやすい。

 保護者が子どもと一緒に通学路を歩き、危険箇所や安全確認の方法を詳しく教えることが有効だ。

 横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる時には一時停止するなどドライバーの意識向上も不可欠だ。

 いじめなど学校生活でのトラブルも心配される。

 文部科学省の調べでは、22年度に県内の小中学校などで認知したいじめは2万件に近い。

 県警によると、23年に県内で小中高生のいじめが絡んだ事件は35件と記録が残る過去5年で最多で、相談受理件数も増えている。

 交流サイト(SNS)を通じて面識のない人物と知り合い、犯罪被害に巻き込まれるケースも後を絶たない。23年に全国で被害に遭った18歳未満は1665人で、うち小学生は139人だった。

 小学生はTikTok(ティックトック)や、オンラインゲームから容疑者側の接触を受けるケースもあるという。

 学校でも1人1台のタブレット端末を持っている。子どもを守るには、適切なインターネット利用を呼びかける必要がある。

 他人を傷つける言葉を書き込まないといった守るべき事項についても話し合いたい。

 能登半島地震で大きな被害が出た新潟市西区の坂井輪中学校の新1年生は、24年度は、近くの小学校で授業を受ける。25年度からは全校生徒が一緒に学べるよう仮設校舎を建設する方針だ。

 大変な状況だが、授業や催事を工夫し、力を合わせて乗り越えてもらいたい。