過去には、離党勧告を受けた議員が後に復党して党の要職を務める例もあり、事件の深刻さにつり合う処分なのかを疑問視する見方がある。
検察の捜査終結から2カ月。党の大量処分に至ったが、裏金の実態は未解明のままだ。
自民党の派閥裏金事件に関係した議員の処分を審査する党紀委員会に臨む茂木幹事長㊥ら=4日、東京・永田町の党本部
処分対象となった39人は、2018~22年の政治資金収支報告書への不記載額が500万円以上の議員と元議員が中心。安倍派の幹部だった7人は500万円未満でも対象とし、比較的重い処分にした。
「5人組」の一人で、安倍派の事務総長経験者の松野博一前官房長官(不記載額は1051万円)、事務総長経験はないが不記載額が2728万円と多い萩生田光一前政調会長は、「党の役職停止」で、期限は1年間とした。
◆過去の処分は
重い処分とされる「離党勧告」も、さらに厳しい「除名」も実効性には疑問符がつく。過去には、ほとぼりが冷めたころに復党する例が相次いでいるからだ。
近年の自民党の主な処分の一覧表(敬称略)。「除名」や「離党勧告」で党を離れても復党した議員が相次いでいた
2021年2月には、松本純元国家公安委員長や田野瀬太道元文部科学副大臣ら3人が自民党から離党勧告処分を受けた。新型コロナの流行により緊急事態宣言が出ていたのに、銀座のクラブに集まって深夜まで飲食したからだった。3人は「銀座3兄弟」と呼ばれた。
◆郵政民営化反対の大量処分でも
2005年には、小泉純一郎政権が推し進めた郵政民営化法案に造反した27人が離党勧告を受け、党を離れた。しかし、このうち11人は1年ほどで復党。その後も複数の議員が自民党に復帰した。このとき除名された綿貫民輔氏も復党している。
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