【一覧表】安倍派幹部の塩谷、世耕両氏に離党勧告 裏金事件で自民党が39人処分(2024年4月4日『東京新聞』)

 
自民党は4日、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関係した安倍派と二階派の議員ら39人の処分を決めた。安倍派幹部の塩谷立文部科学相世耕弘成参院幹事長は、党の処分で2番目に重い「離党勧告」とした。
過去には、離党勧告を受けた議員が後に復党して党の要職を務める例もあり、事件の深刻さにつり合う処分なのかを疑問視する見方がある。
検察の捜査終結から2カ月。党の大量処分に至ったが、裏金の実態は未解明のままだ。
自民党の派閥裏金事件に関係した議員の処分を審査する党紀委員会に臨む茂木幹事長㊥ら=4日、東京・永田町の党本部

自民党の派閥裏金事件に関係した議員の処分を審査する党紀委員会に臨む茂木幹事長㊥ら=4日、東京・永田町の党本部

処分対象となった39人は、2018~22年の政治資金収支報告書への不記載額が500万円以上の議員と元議員が中心。安倍派の幹部だった7人は500万円未満でも対象とし、比較的重い処分にした。
離党勧告は、安倍派座長を務めた塩谷立文科相(不記載額は234万円)と、安倍派の参院トップだった世耕弘成参院幹事長(不記載額は1542万円)。
この2人は、安倍派のパーティー券収入のキックバック(還流)の廃止や、その後の復活を協議した2022年の会合に出席していた。
この会合に同席していた下村博文政調会長(不記載額は476万円)と、西村康稔経済産業相(不記載額は100万円)は、党の処分としては3番目に重い、期限付きの「党員資格停止」とした。期限は1年間。
 
安倍派の有力者「5人組」のうち、2022年の幹部会合に参加していない高木毅前国対委員長(不記載額は1019万円)については、6カ月間の「党員資格停止」とした。
「5人組」の一人で、安倍派の事務総長経験者の松野博一官房長官(不記載額は1051万円)、事務総長経験はないが不記載額が2728万円と多い萩生田光一政調会長は、「党の役職停止」で、期限は1年間とした。

◆過去の処分は

重い処分とされる「離党勧告」も、さらに厳しい「除名」も実効性には疑問符がつく。過去には、ほとぼりが冷めたころに復党する例が相次いでいるからだ。
 
近年の自民党の主な処分の一覧表(敬称略)。「除名」や「離党勧告」で党を離れても復党した議員が相次いでいた

近年の自民党の主な処分の一覧表(敬称略)。「除名」や「離党勧告」で党を離れても復党した議員が相次いでいた

2021年2月には、松本純国家公安委員長田野瀬太道元文部科学副大臣ら3人が自民党から離党勧告処分を受けた。新型コロナの流行により緊急事態宣言が出ていたのに、銀座のクラブに集まって深夜まで飲食したからだった。3人は「銀座3兄弟」と呼ばれた。
しかし、田野瀬氏は8カ月後の衆院選で無所属で当選すると、議席増を狙う自民党から追加公認されて復党。松本氏ら2人も既に復党している。

郵政民営化反対の大量処分でも

2005年には、小泉純一郎政権が推し進めた郵政民営化法案に造反した27人が離党勧告を受け、党を離れた。しかし、このうち11人は1年ほどで復党。その後も複数の議員が自民党に復帰した。このとき除名された綿貫民輔氏も復党している。
復党した議員の中には、野田聖子・元総務相江藤拓・元農水相森山裕・現総務会長など、要職を歴任した議員も多い。