自民党 党紀委で39人処分決定へ 塩谷氏 世耕氏 離党勧告の方針(2024年4月4日『NHKニュース』)

派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、自民党は安倍派と二階派の議員ら39人の処分を決めるため、午後4時すぎから党紀委員会を開いています。

安倍派でキックバックの扱いを協議した幹部4人のうち、塩谷 元文部科学大臣と世耕 前参議院幹事長を離党勧告、下村 元政務調査会長と西村 前経済産業大臣を1年間の党員資格停止とする方針です。

本日の動きを随時更新してお伝えします。

自民党の党紀委員会 午後4時すぎから開始 39人処分へ

今回の問題で自民党は安倍派と二階派の議員ら39人の処分を決めるため、さきほど午後4時すぎから党本部で党紀委員会を開いています。

これを前に党紀委員会は午前10時までに39人のうち希望した31人から弁明書の提出を受けました。

党執行部は、安倍派でキックバックの扱いを協議した幹部4人のうち、派閥の座長を務めた塩谷 元文部科学大臣と、参議院側のトップだった世耕 前参議院幹事長を離党勧告、また下村 元政務調査会長と西村 前経済産業大臣は1年間の党員資格停止とする方針です。安倍派で事務総長を務めた高木 前国会対策委員長は半年間の党員資格停止とし、同じく事務総長経験者の松野 前官房長官と、二階派で事務総長を務めるなどした武田 元総務大臣、林 元経済産業大臣、平沢 元復興大臣は1年間の党の役職停止とする方向です。

また、萩生田 前政務調査会長ら5年間の不記載などの額が2000万円以上だった議員も1年間の党の役職停止とする方針です。

さらに不記載などの額が1000万円から2000万円の議員は半年間の党の役職停止、500万円から1000万円の議員らは戒告とすることにしています。

党紀委員会が終了したあと、茂木幹事長と逢沢 党紀委員長らが記者会見し、処分の内容や理由などを説明する運びとなっています。

午後4時から自民党が党紀委員会を開催

派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、自民党は安倍派と二階派の議員ら39人の処分を決めるため、午後4時から党紀委員会を開きます。

安倍派でキックバックの扱いを協議した幹部4人のうち、塩谷・元文部科学大臣と世耕 前参議院幹事長を離党勧告、下村 元政務調査会長と西村 前経済産業大臣を1年間の党員資格停止とする方針です。

39人の処分は郵政民営化関連法案の処分に次ぐ規模

自民党によりますと党紀委員会が行った処分で最も人数が多かったのは、2005年に郵政民営化関連法案に反対した59人だということです。

この時は綿貫民輔衆議院議長ら10人が除名され、27人が離党勧告となりました。39人が処分された今回は、それに次ぐ規模だということです。

野党4党 参院国対委員長 処分内容の説明要求で一致

自民党の党紀委員会が開かれるのを前に、立憲民主党日本維新の会共産党、国民民主党の野党4党の参議院国会対策委員長が会談し、今後の対応を協議しました。

この中で野党4党は、あすにも参議院予算委員会の理事懇談会を開き、自民党から処分の内容や安倍派の幹部4人に行った追加の聴取の結果などについて説明を求めることで一致しました。

また、これまで参議院政治倫理審査会に出席していない29人の議員に、改めて出席を求めていくことを確認しました。

このあと立憲民主党の斎藤 参議院国会対策委員長は記者団に対し「一部の議員は自民党の党紀委員会には弁明書を出しているようだが、審査会で弁明をしておらず、国会軽視も甚だしい。審査会に対し、意思表示をしてもらい、具体的な審査を進めたい」と述べました。

自民党の8段階の処分の種類と事例は

自民党は、所属議員に政治不信を招く政治的・道義的な責任があると認めた場合、党則に基づいて8段階の処分を行うと規約に掲げています。

処分は重い順に「除名」「離党の勧告」「党員資格の停止」「選挙における非公認」「国会および政府の役職の辞任勧告」「党の役職停止」「戒告」「規定の順守の勧告」となっています。

最も重い「除名」は、直近では派閥の政治資金パーティーをめぐる今回の事件で逮捕・起訴された池田佳隆衆議院議員が受けています。

また2005年には、郵政民営化関連法案に反対し、新党に参加した綿貫民輔・元衆議院議長亀井静香・元政務調査会長ら10人が除名されました。

「離党勧告」は、郵政民営化関連法案に反対し直後の衆議院選挙で無所属で立候補した野田聖子・元総務大臣ら衆参両院の議員あわせて27人が一度に処分を受けました。

「党員資格の停止」は最近では、2021年の衆議院選挙で立憲民主党の候補者の応援演説を行った山崎拓元副総裁が1年間の処分を受けた例があります。

「党の役職停止」は、おととし(2022年)安倍元総理大臣を「国賊だ」などと発言した村上誠一郎・元行政改革担当大臣が1年間の処分を受けています。

「戒告」は、民主党政権だった2012年、当時の野田内閣に対する不信任決議案の採決で、党の方針に従わなかった小泉進次郎・元環境大臣ら7人が処分を受けた例があります。

一方、自民党によりますとこれまでに「選挙における非公認」の処分を受けた議員はいないということです。

また、2021年に新型コロナの感染拡大で緊急事態宣言が続く中、深夜まで銀座のクラブに出入りした議員3人に対し当時の二階幹事長が離党を促し3人が離党しましたが、これは規約に基づく処分ではありませんでした。

処分を受けたらこうなる

自民党が党則に基づいて行う8段階の処分のうち、2番目に重い「離党の勧告」は党が自発的に離党するよう勧告するものです。処分を受けてみずから離党すれば、その後、党紀委員会の審査を経て復党することができます。復党までに必要な期間は定められていません。
一方、勧告を受けても離党しない場合は「除名」されることになります。

3番目に重い「党員資格の停止」は原則3か月以上2年以下の期間を定め、党員としての資格を停止するものです。この処分を受けると総裁選挙への立候補や投票ができなくなり、党役員の選出などにも関われなくなります。また国政選挙の立候補予定者となる支部長は解任されます。
一方、党員ではあるため、党費の支払いなどの義務は継続します。

6番目の「党の役職停止」は原則3か月以上2年以下の期間を定め、党の役職を停止するものです。今回の問題では安倍派幹部らがすでに政府や党、国会の役職を退いているため、こうした処分では実効性がないという指摘が出ていました。

「戒告」は、8段階の処分のうち下から2番目で、対象者に文書か口頭で注意するものです。この処分を受けても議員活動に制約は生じません。党関係者の1人は「サッカーでいう『イエローカード』のイメージで次はより厳しい処分を下すと警告する意味合いもある」と話しています。

なお、今回の処分では、最も重い「除名」、4番目の「選挙における非公認」、5番目の「国会および政府の役職の辞任勧告」、そして最も軽い処分の「規定の順守の勧告」はありませんでした。

自民党の党紀委員会とは

自民党の党紀委員会は「党の規律をみだす行為」などを行った議員らに対する処分を決める機関で、衆参両院の議員や元議員、それに民間人のあわせて18人で構成されます。委員長は逢沢一郎・元国会対策委員長が務めています。

幹事長からの要請か、5人以上の党紀委員による請求があった場合に招集され、審査を行った上で処分を決定します。

党紀委員会が決定する処分は重い順に「除名」から「規定の順守の勧告」までの8段階あります。

処分の審査の対象となった議員らは、党紀委員会に弁明書を提出することができ、委員会はその内容も踏まえ処分を決定することになります。

党紀委員会が決定した処分に不服がある場合は、総裁に対し、再審査の請求を行うことができます。

再審査が請求されると、総務会で扱いが協議され、相当の理由があると認められた場合には党紀委員会で再度審査が行われることになっています。

塩谷氏「処分の基準を明確にしてもらいたい」

安倍派の座長を務めていた塩谷 元文部科学大臣は、処分が決まる前に記者団に対し「事実に基づいて、処分の基準を明確にしてもらいたい。まだ処分が出ていないからわからないが、離党勧告は厳しいと思う」と述べました。また記者団から岸田総理大臣の責任について問われ「党の代表としての責任はあるのではないか」と述べました。

官房長官「説明責任を果たすことが重要」

官房長官は午前の記者会見で「政府として自民党の処分について申し上げる立場にはないが、一般論として、それぞれの政治家が必要に応じて適切に説明責任を果たすことが重要だ」と述べました。

立民 長妻政調会長「総理が処分対象外は非常に不可解」

立憲民主党の長妻政務調査会長は記者会見で「実態解明なしに、処分だけでふたをしては困る。野党側は国会で10人の証人喚問を要求しているので、説明を果たした上で、処分すべきだ。岸田総理大臣も、派閥の会長をしていて、元会計責任者が有罪になっているので、処分対象になることは明白だが、外れているのは非常に不可解だ。きちんとした対応をすべきだ」と述べました。

公明 北側副代表「党内が混乱することはないように」

公明党の北側副代表は、自民党の処分が決まる前の記者会見で「説明責任をしっかり果たして政治責任を明確化し、再発防止策を今の国会できちんと仕上げていくことが大事であり、国民の理解が得られるような判断をしてほしい。政策を前に進めていくためにも党内が混乱することはないようにしてほしい」と述べました。