例外だらけでゆるゆるな自民党の党則 復党可能な「除名」は痛くもかゆくもない(2024年3月16日『日刊スポーツ』-「政界地獄耳」)

★17日の党大会で自民党は党則などを改正。会計責任者が政治資金規正法違反で逮捕・起訴されたら、議員本人に「離党の勧告」や「党員資格の停止」などの処分を行える。また会計責任者の有罪が確定し、議員も関与するなど政治的・道義的責任がある時は「除名」か「離党の勧告」を行うとある。一見厳しそうだが、この党は例外だらけで、事案によってや、時の幹事長の胸三寸で変わる場合もある。つまり党則などの改正で事態が解決したり厳格化するわけではない。また比例代表の議員が当事者になった場合、議員辞職が相当だと思うが、幾人かの議員は離党しても無所属議員で居座るが、この言及もない。

★処分の規約は既にあり、重い順に「除名」「離党の勧告」「党員資格の停止」「選挙における非公認」「国会および政府の役職の辞任勧告」「党の役職停止」「戒告」「倫理憲章などの規定の順守の勧告」などがあるが、他党と比べても極めて身内に優しい。今回の裏金事件の処分が決まらないのは、旧安倍派や旧二階派からの反発が多いからとか。当事者が意見することがおかしいが、一番厳しい除名にあったとしても痛くもかゆくもないだろう。こちらもゆるゆるなのだ。

★元国家公安委員長松本純は21年1月、コロナ禍で緊急事態宣言の中、銀座のクラブにいたとして離党。自民党神奈川県連幹部は「除名の次に重い離党勧告を受けた人。2度と戻ることはない」としていたが、同年10月の衆院選では無所属で出馬し落選。翌月、党幹事長・茂木敏充は復党させ、県連が抗議し白紙に戻ったが結局22年1月、復党した。ポスト岸田とちやほやされている外相・上川陽子は、00年6月の衆院選自民党員だったが、自民党公認候補がいながら無所属で静岡1区から出馬し初当選。出馬強行で党を除名になったが、翌年には復党している。つまり除名とは、ほとぼりが冷めるまでの待機期間でしかない。除名になってもすぐ帰ってくるよ。(K)