<Q&A>離党勧告…それでも「しれっと復党」するのでは? 自民の裏金議員の「処分」って重い?軽い?(2024年4月3日『東京新聞』)

 
 自民党は4日、派閥パーティー裏金事件に絡み、安倍派の衆院側、参院側でそれぞれトップだった塩谷立氏、世耕弘成氏に対し、最も重い「除名」に次ぐ「離党勧告」の処分を言い渡す方針です。離党勧告を受けて党を離れても、ほとぼりが冷めたころに復党する議員もいるのが実態で、深刻な政治不信を引き起こした今回の裏金事件につり合う内容なのか疑問の声もあります。(大野暢子)

◆離党しないと除名される

塩谷立氏=3月27日

塩谷立氏=3月27日

Q 離党勧告を受けた議員はどうなりますか。
A 通達から10日以内に再審査を申し立てず、離党届も出さなかった場合は除名されます。離党するので当然、選挙で党の公認は得られません。無所属で衆院選に出た場合、比例での重複立候補はできず、小選挙区で勝てなければ落選します。党を通じて配分される政党助成金は支給されず、総裁選への立候補や投票も不可。復党には党紀委員会の審査が必要です。
Q もう一段軽い「党員資格停止」の内容は。
A 3カ月から2年の期間とともに言い渡される処分で、その間は離党者に近い環境での議員活動を強いられます。党会合や総裁選への参加、選挙での公認は認められません。
Q さらに一段軽い「選挙での非公認」は。
 
世耕弘成氏=3月29日

世耕弘成氏=3月29日

A 選挙で公認を得られないことを除けば、他の自民党議員と同じ環境で活動できます。過去に処分例はなく、非公認となる期間も定まっていません。

◆郵政造反、コロナ会食でも「復党」

Q 過去に大規模な処分が行われた例は
A 2005年に郵政民営化法案が自民党の大量造反で否決された際、当時の小泉純一郎首相が衆院選で造反者を公認せず、「刺客」として対立候補を送り込むなどの措置をとりました。衆院選後の党紀委で11人を除名、27人を離党勧告、2人を党員資格停止1年としました。当時の離党者は野田聖子総務相森山裕総務会長らで、復党後に閣僚や党要職を務めた例も目立ちます。
Q 近年の例は。
A 新型コロナウイルスの緊急事態宣言下の東京・銀座で深夜に会食したとして、3衆院議員が党幹部の勧告で21年2月に離党しました。ただ、3人中2人が1年もたたずに復党を認められ、既に全員が復党を果たしています。