衆院3補選、自民は「不祥事」の東京、長崎で擁立を断念 敗北のダメージ恐れ? 与野党対決は島根だけ(2024年4月3日『東京新聞』)

 
 衆院3補欠選挙(16日告示、28日投開票)を巡り、自民党は2日、東京15区と長崎3区で候補擁立を断念し、選挙の構図がほぼ固まった。自民派閥の裏金事件や関係議員の処分に対する審判の場。強固な地盤を持つ島根1区では公認候補を決めたが、東京15区では小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党都民ファーストの会」擁立の乙武洋匡氏(47)の推薦にとどめ、立憲民主党の新人候補などと対決する。敗れた場合のダメージを最小限に抑えたい思惑が透ける。

◆「政治とカネ」問題だらけ

 3補選はいずれも自民の「政治とカネ」問題が付きまとう。東京15区は、江東区長選を巡る買収事件で起訴された柿沢未途氏(自民を離党)の辞職に伴うもので、既に有罪判決が確定。長崎3区も、安倍派から還流した約4300万円を政治資金収支報告書に記載せず略式起訴された谷川弥一氏(同)の辞職による。
 島根1区は安倍派前会長の細田博之衆院議長の死去に伴う。細田氏の会長時代にも派閥パーティー券の販売ノルマ超過分を議員に還流していたことが判明し、政治不信を招いている。
 自民が3補選のうち二つで候補を出さないのは異例の事態だが、そもそも補選の主因は自民の不祥事。茂木敏充幹事長も「候補を擁立しにくい状況」と認めている。逆風下で仮に全敗したり負け越したりすれば、政権への影響は否めない。

◆島根、長崎は事実上の一騎打ちか

自民党役員会に臨む(左から)茂木敏充幹事長、岸田文雄首相、麻生太郎副総裁ら=1日

自民党役員会に臨む(左から)茂木敏充幹事長、岸田文雄首相、麻生太郎副総裁ら=1日

 立民は東京15区で新人の酒井菜摘氏(37)を擁立する方向。共産党は新人の小堤東氏(34)が出馬表明したが、立民と協力する可能性も。いずれも新人で日本維新の会の金沢結衣氏(33)、参政党の吉川里奈氏(36)、政治団体「日本保守党」の飯山陽氏(48)と、元自民衆院議員の秋元司氏(52)が立候補する意向を示す。
 島根1区は自民新人と立民元職、長崎3区は立民現職と維新新人の事実上の一騎打ちが見込まれる。(山口哲人)